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「仕入れる生地の品ぞろえは日本で一番多いのでは」と話す柴田音吉社長=神戸市中央区元町通4
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「仕入れる生地の品ぞろえは日本で一番多いのでは」と話す柴田音吉社長=神戸市中央区元町通4

 開港当時の神戸で、日本人初のテーラーが構えた工房が、今も神戸元町商店街で営業を続けている。「柴田音吉洋服店」。完全手作りを貫く職人技術と本場・英国流の接客で、全国に顧客を持つ。国内市場は既製服が主流となったが、同社は「初代・音吉の起業から150年になるが、テーラー本来の手法にこだわり続けたい」としている。

 柴田音吉は、近江商人の家に生まれ、軍服や制服の縫製を学んだ。開港当時、外国人居留地にテーラーを開いた英国人カペルの一番弟子として工房も構え、腕を磨いた。兵庫県の初代知事だった伊藤博文のほか、明治天皇の洋服も手掛けたという逸話も伝わる。1883(明治16)年に独立し、元町で会社を創業した。初代の名を襲名した5代目社長、柴田音吉さん(68)は「当時、明治天皇にも技術を認めてもらい、日本の洋装化に大きな役割を果たしたことは誇り」と話す。

 テーラーを巡る環境が大きく変わったのは、バブル崩壊と阪神・淡路大震災。商店街のテーラーが相次ぎ閉店した。「うちは顧客の2割が神戸近郊、8割が全国。被災地の外から多くの注文をいただき、震災後の店を支えてもらった」と振り返る。元町にあった倉庫は、戦時中の空襲、震災による被害を免れ、保管してあった伊藤博文のフロックコートも奇跡的に残った。

 震災後に自社ビルを建て替え、店内は「本場のスタイル」にした。ソファでくつろぎながら予約客と会話し、まずは人柄や好みを聞く。一着30万から40万円。生地は常時500種類ほどを仕入れてあり、注文が決まれば、ベテランの職人らが丁寧に仕上げる。

 自社ビル1階に、商店街初となる保育園を誘致し、今春開業する。周辺はマンション建設が相次ぎ、新住民や商店街で働く人に保育施設が必要となっていた。柴田社長は「保育園が地域の役に立ち、商店街の活性化にもつながれば」と話している。(段 貴則)

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