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娘を膝に抱き、スタッフに悩みを打ち明ける女性。「今は少し笑えるようになりました」
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娘を膝に抱き、スタッフに悩みを打ち明ける女性。「今は少し笑えるようになりました」
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 配偶者や恋人から受けるドメスティックバイオレンス(DV)の被害や相談が増え続けている。暴力を伴わず言葉や態度で人格を否定し、周囲との関係を断ち切らせるなどの精神的暴力(モラルハラスメント)も目立つ。こうしたDV被害者の話を聞いたり、家探しの付き添いをしたり、再出発の支援をするボランティアの重要性は年々高まっている。関西のシェルターで、一時保護された経験を持つ3人の女性らを訪ねた。(広畑千春)

■寄り添う

 「よう出て来たね」

 兵庫県内に住む30代の女性はシェルターに逃げた日、女性スタッフに掛けられた言葉に泣き崩れた。

 夫は全てを否定した。家計は管理され、食卓に並べた食事はぬるくても、熱くても怒鳴られた。謝っても「それで済むと思ってるんやろ」と深夜、未明まで説教が続いた。

 「おかしいと思っても、恐怖で言葉が出てこない。夫の評価が絶対で…」

 長年支配下に置かれた影響なのか、当時は自己肯定感が著しく低かった。

 何度も離婚を持ち出したが拒絶され、子どもの小学校入学を前に逃げ出した。

 「あなたは間違ってない」「よく頑張った。もう十分よ」。女性スタッフの言葉が心に少しずつしみ込む。

 一時保護から数年が過ぎ、女性は「ようやく自分を認められるようになった」と話すが、まだ一人では電車に乗れないという。

■付き添い

 シェルターで暮らす期間は、通常1カ月くらい。長くても2、3カ月の場合が多いという。だが、60代の女性は半年近くに及んだ。

 夫は酒におぼれ、気に入らないことがあると怒り出した。ある日、物を投げつけられ、身の危険を感じた女性はすきを見て逃げた。

 シェルターは安心できた。毎朝決まった時間に女性スタッフから電話があると、ほっとした。しかし、一人で暮らすとなると、不安で、結局、半年近くシェルターに身を置いた。着の身着のままで出て来て、手持ちも無い。家を借りようにも、賃貸契約書の保証人欄に書ける人がいない。

 そんな時、心強かったのが付き添いボランティアの存在だ。家を借りる交渉や離婚手続き、弁護士相談などあらゆる場面でそばにいてくれた。

■子どもへの支援

 「お姉ちゃんたちに会いたいな」。シェルターを出て暮らす女性に、小学生の娘がぽつりとつぶやいた。

 夫の暴力に耐え切れず逃げ出したものの、地縁も血縁も無い土地でのシェルター生活で、娘は表情を無くしていた。そんな時、ボランティアの女子学生たちが毎日のように近くの公園で遊んでくれた。雨の日は、家で一緒にブロックをしたり、縫い物をしたり。娘はうれしそうに笑った。

 新生活をスタートさせたが、夜中に突然、娘が「背中が無い!」と泣き叫ぶようになった。10分ほどすると収まるが、朝まで何度も繰り返す日が続いた。

 娘は今、カウンセリングや学習支援を受けながら過ごす。女性は「一時保護された時、私もいっぱいいっぱいで、娘と2人だったらどうなっていたか…。あの学生さんのような存在に救われました」と口にする。

■深刻な人手不足

 DV被害者を支援するNPO法人「女性と子ども支援センター」(正井礼子代表理事)は5~6月に神戸市内で「DV・性暴力被害者支援サポーター養成講座」を開く。

 被害の増加とともに、支援の充実も叫ばれているが、運営資金が十分でない上、スタッフの高齢化も相まって人手不足は深刻な課題だという。「まずは一人でも多くの人に、こうした被害や支援の方法を知ってほしい」と正井さん。「被害女性だけでなく、その子どもも心の傷は深く、回復には長い時間が掛かる。一緒に遊んだり勉強を見たり、ただ話し相手になったりするだけでも、心の支えになれる」と話す。広報誌やホームページ、会員制交流サイト(SNS)に詳しい人、事務作業が得意な人も歓迎という。

 講座は8回で、5月9日、23日、6月6日、20日の午前10~12時、午後1~4時半、中央区の市総合福祉センターで。実際の事例をもとに、被害者心理▽望ましい支援のあり方▽DVを取り巻く社会状況▽法制度-などを学ぶ。要予約、30人、資料代2500円。同団体TEL078・734・1308

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