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路線バスとしては全国的にも珍しくアーケードの下を通る坂バス=灘中央筋商店街
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路線バスとしては全国的にも珍しくアーケードの下を通る坂バス=灘中央筋商店街

 鉄道マニアでもバスマニアでもないが、時々、目的もなくバスや電車に乗りたくなる。神戸市灘区の狭い坂道をためらいもなくグングンと上る「坂バス」は、私の好奇心をくすぐる。スクールバスほどの大きさ。小回りも利き、水道筋商店街のアーケード内も突き進む。6月下旬、坂バスの旅に出てみた。(坂山真里緒)

 「まずは1周してみよう」。JR灘駅をスタートし、水道筋口へ。そこから一気に北上する。信号での坂道発進。アクセル音が体に響く。

 ふと気が付いた。停留所に目の前の病院名が付いていたり、停留所の近くに病院があったり…。これは道中、点在する病院の利用者のことを思って設置された停留所に違いない。そう思って坂バス連絡会議の委員でもあり、灘に明るい慈憲一さんに聞くと「たまたまです」と、想定外の答え。停留所の位置ありきで考えたらそうだったという。

 最高到達点は海抜139メートルの摩耶ケーブル下。ここからは下りだ。運転手はすれ違う車や道路脇の駐車車両に細心の注意を払いながら進む。全国でも珍しい、灘中央筋商店街のアーケード下へ「進入」。商店街を抜けていつの間にかJR灘駅に戻っていた。往復わずか30分のバスの旅。

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 2周目は途中下車の旅といこう。再びJR灘駅前から乗り込む。先客の男性に声を掛けた。「坂バスができて便利になりましたか」「私、人工透析しているので有りがたいです」。そう答えてくれたのは、奈良市から月2度、坂バスを利用するカメラマンの男性(57)。停留所「赤坂通6」で降り、近くの撮影スタジオに向かうという。

 バスが通る前はもちろん歩き。途中、福住公園で30分ほどのインターバルを入れ、1時間以上掛けて訪れていた場所だ。「元気な時でも歩きはしんどかったので助かります。商店街をうろちょろする機会はめっきり減ってしまいました」と言って降車していった。

 摩耶ケーブル下で降り、ケーブルカーにも乗ってみた。5分で虹の駅に到着。見晴台からの景色は最高だった。ハイカーや観光客にとっては絶好の交通手段。ただ、実際はケーブルやロープウエーは土日利用が多いのに、坂バスは逆転現象が起きているという。「強化しなければ」と慈さんらは頭を悩ましている。

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 次はアーケードにある停留所で降り、バスが商品すれすれを通っていた青果店へ。「停留所が近くにあって売り上げは良くなりましたか」。明るい答えが返ってくると思いきや、「1割程度落ちました」と店主(67)。「最初は便利だと思っていたんだけど…」。便利さはどこかに不都合を呼ぶこともあるのだろうか。

 JR灘駅到着後、運転手(41)に尋ねた。「上りと下り、どちらの運転が難しいですか」。唐突な質問にちょっと困りながらも「上りですかね。坂道発進とか」と答えてくれた。交互通行がやっとの狭い道。坂の途中に信号もあり、すれ違いなどに気を使う。「駐車車両も困りますね」と投げ掛けると、「もう慣れました」とちょっと笑った。

 南北の交通手段を充実させるため、本格運行を開始して5年。あなたも坂バスで、新たな「灘」を見つける旅に出掛けてみては。

 ◇坂バスって? JR灘駅とまやビューライン摩耶ケーブル駅を、阪急王子公園駅、水道筋商店街などを経由して結ぶ。みなと観光バス(本社・東灘区)が社会実験を経て、2013年4月から運行を開始した。現在は、午前7時台から午後9時台まで20分間隔で運行。料金は大人210円、子供110円。みなと観光バスTEL078・845・3710

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