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3代目店主の小山紅さん。名物「ポークチャップ定食」は開店当時の味を守る=灘区倉石通6
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3代目店主の小山紅さん。名物「ポークチャップ定食」は開店当時の味を守る=灘区倉石通6

 阪急王子公園駅(神戸市灘区王子町1)の東改札口から徒歩3分の場所にある洋食店「千疋屋」(同区倉石通6)。引き戸を引くと、3代目店主、小山紅さん(59)の明るい「いらっしゃい」の声が響く。

 カウンター席のみの店内には、酒をたしなみながら料理に舌鼓を打つ、常連客らの笑い声が響く。「今日もおいしいで」、「ありがとう」。紅さんは客らと会話しながら、手際よく料理を仕上げていく。

 同店は義父の竹二さんが、1952年、同区水道筋6で創業した。トマトをたっぷり使った秘伝のデミグラスソースのレシピは当時から変わらない。同ソースがかかった「ポークチャップ定食」(1200円)は、店の看板メニューだ。

 阪神・淡路大震災では、店が全壊した。開店当時から継ぎ足して使っていたデミグラスソースは被害を免れ、竹二さんは店の再開を目指したが、被災の4カ月後に肺がんで死去。遺志を継いだ夫の重美さんが今の店で営業を再開した。

 その重美さんも2016年にがんで病床に。治療の開始時には「絶対に店に戻る」と語り、紅さんは「夫が復帰するまでは」と、厨房に立ち始めた。

 「義父と夫が調理する姿をずっと見てきたのに、同じ味が出せなかった。めっちゃ落ち込んだわ」と紅さん。しかし重美さんに「好きにやったらいい。お前のお客さんができるから」と励まされ、常連客らも奮闘する紅さんを見守った。

 その重美さんも昨年4月に帰らぬ人となった。「もう店は畳もう」と一度は考えた紅さんだが、最後まで「店へ立ちたい」と話していた夫の姿が目に浮かび、店を続ける覚悟を決めた。「頑張ってくれや」「千疋屋、続けてくれや」と励ます常連客らの声も、背中を押した。

 紅さんは「お客さんがいる限り、絶対辞めへん。元気な間は続けるんや」と、今日も厨房に立つ。

 水、日曜日定休。同店TEL078・871・7097。

(真鍋 愛)

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