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「ハル」と「テヤ」の境界と言われ、「テヤハル川」とも呼ばれる住吉川
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「ハル」と「テヤ」の境界と言われ、「テヤハル川」とも呼ばれる住吉川

 住吉川(神戸市東灘区)が「テヤハル川」と呼ばれているのをご存じだろうか。1958年ごろに甲南女子大の鎌田良二教授が実施した調査に由来するという。関西弁で丁寧な表現をする際に使われる「テヤ」と「ハル」。例えば大阪や京都は「どこ行かハルの?」と言うのに対し、播州では「どこ行っテヤの?」という。このテヤハルの境が住吉川にあったというのだ。その境界線は今も残っているのだろうか? 早速、住吉川を挟んで東側と西側に住む住民に尋ねてみた。(吉田みなみ)

 まず、鎌田教授の調査結果を紹介しよう。1979年著の「兵庫県方言文法の研究」には、58年ごろ、日本国有鉄道(現在のJR神戸線)沿線の大阪~須磨間で中高生1800人の聞き取りを行った内容が記載される。

 その結果、本山付近で約8割が「ハル」、御影地区で7割が「テヤ」を使い、住吉川を境にテヤハルが逆転したという。ちなみに、テヤは播州や丹波などを中心に使われてきた尊敬を表す助動詞で、ハルは大阪府を中心に使われてきた敬語表現だという。

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 マンスリー班は1月中~下旬にかけ、住吉川の東側の阪急岡本駅周辺と、西側にある御影クラッセ周辺に住む住民各10人にテヤハルの質問をしてみた。

 結果、東側では10人全員が「ハル」を使うと回答。西側では「テヤ」3人、「ハル」3人、「どちらも使わない」が4人と、分散する結果になった。

 「『テヤ』は昔、中高生くらいの若い娘さんたちがよう言ってたわ」と話すのは御影の無職の男性(92)。「戦前、よく女性が使っていた言葉だったと覚えている。今はほとんど聞かんね。言ってたとしても60~70代以上の女性やないかな。今は『ハル』の方がよう使ってると思う」

 本山の無職の女性(85)は「『言うてハル』って言葉は使うけど、その相手は友達同士で、敬語って感じでもないし頻度も少なめ。『テヤ』は全然聞かないが、『言っトウ』『しトウ』はよく聞く。こっちの方がおしゃれな気がする」と笑った。

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 方言を研究する専門家はどう見るのか、聞いてみると…。

 神戸市外国語大学の中井幸比古教授(61)は、1958年の研究の調査地域と年齢に着目し、「山側と海側、対象の年齢層など、調査の条件が変わればこんなにはっきりと結果が出ていなかったかもしれない。住吉川が境になったのは偶然なのでは」と分析する。

 甲南大の都染直也教授(60)は、(神戸新聞の調査で)住吉川より西側の住民の回答が分散していることに、「神戸はおしゃれな街だという意識が高まった結果、大阪や播州に染まらない“自分たちの話し方”を選択するようになったのでは」と話す。

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