神戸

  • 印刷
自作した象限儀の模型を手に、伊能忠敬の天体観測に思いをはせる大西道一さん=神戸市灘区鶴甲2
拡大
自作した象限儀の模型を手に、伊能忠敬の天体観測に思いをはせる大西道一さん=神戸市灘区鶴甲2

 江戸時代に初めて実測による日本地図を完成させた測量家、伊能忠敬(1745~1818年)の天体観測について、神戸市灘区の工学博士、大西道一さん(86)が科学的な検証を続けている。伊能が観測で本来考慮しなければならない大気の影響を無視しながらも正確な緯度を求めたことを発見したり、観測機器「象限儀」の模型を作ったりした。その多彩な才能から「神戸のレオナルド・ダビンチ」と呼ぶ人も。19日は伊能が最初に測量に出発したとされる「地図の日」。(吉田敦史)

 大西さんは高砂高校(兵庫県高砂市)時代、精度の高いプラネタリウムを自作して学園祭で披露。作品は現在も大阪市立科学館(大阪市北区)に保管される。神戸大を出て化学メーカー入社後は、同大や関西大で、3次元の図形を2次元の平面に表す「図学」などを教えた。66歳の時にパノラマ写真の論文で博士号を取るなど探究心が強く、50歳から天文学を学んで地球の大きさを知ろうとした伊能の生き方に共感し、熱心に研究してきた。

 大西さんの伊能研究について、明石市立天文科学館(兵庫県明石市)の井上毅館長(50)は「古文書を理系の目で読み込むところがすごい」と舌を巻く。歴史研究では読み飛ばされてきた科学データを、大西さんは時間をかけて検証した。

 その成果の一つが、伊能が大気の影響「大気差」を無視したことの発見。伊能は全国の測量で、日中に地べたを測る一方、夜には恒星の南中高度を観測し、その地の緯度を割り出した。その際、低い位置に見える星ほど大気差で浮かんで見えるが、伊能はその補正を行っていなかった。あらかじめ自身の天文台で大気差を含んだ数値を調べておき、観測地での大気差を含んだ数値と比較する。「本来必要な、星の位置を示す数値も大気差の補正も不要になる。驚くべき方法」だという。

 大西さんは、伊能の測量に重要な役割を果たした象限儀の模型も製作し、伊能忠敬研究会(事務局・東京都)に寄贈した。円を4等分した分度器を支える柱や望遠鏡が、本物同様に回転する。伊能忠敬記念館(千葉県)にある実物や大阪市立科学館の複製品は触れることができないため、説明用として喜ばれたという。

 大西さんは「『伊能といえば地図作り』が一般的なイメージだが、天体観測で緯度を出したという重要な過程を知ってもらいたい」と力を込めた。

神戸の最新
もっと見る

天気(5月23日)

  • 26℃
  • 17℃
  • 20%

  • 31℃
  • 10℃
  • 20%

  • 28℃
  • 15℃
  • 10%

  • 31℃
  • 13℃
  • 20%

お知らせ