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自著に込めた思いを語る西尾元さん=西宮市武庫川町
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自著に込めた思いを語る西尾元さん=西宮市武庫川町

 死因不明や事件性が疑われる遺体を年間200~300体解剖する兵庫医科大学(兵庫県西宮市)法医学講座主任教授の西尾元さん(57)が4月、著書「いまどきの死体 法医学者が見た幸せな死に方」を出版した。執刀から垣間見えた老老介護や虐待などの問題を描いた西尾さんは「社会が抱える課題が、死体という最も深刻な形で解剖台に運ばれてくる」と話す。

 西尾さんは兵庫県警からの依頼に基づき、阪神間6市1町で発見された遺体の解剖を担う。

 著書では実際の執刀例を紹介。70代の女性には首にひもで絞められた痕があった。夫は「介護に疲れた」と書き置きし自殺。女性を解剖すると、脳に肺から転移したがんの病巣があった。西尾さんは「妻が物忘れする様子を認知症のせいだと考えたのは仕方ない」とした上で、「異変の原因が、がんと分かっていれば、夫は妻に手をかけたでしょうか」とつづった。

 頭蓋内の出血で亡くなった生後3カ月の女児について、父親は「抱っこをして手が滑り、床に落とした」と証言した。だが、解剖で肋骨を折った痕跡や視神経の出血を確認。女児が体や頭を揺すられていたことが判明した。

 「自分には関係ないと思っていても、いつこのような問題に関係するかは分からない」と西尾さん。「それぞれが死を通し、どう生きるかを考えるきっかけになってほしい」と話した。

 B6判187ページ。1296円。幻冬舎。主な書店で販売している。(田中宏樹)

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