神戸

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「須磨ベルトコンベヤ」の始点。現在もベルトコンベヤーの一部が保存されている=神戸市西区見津が丘6(撮影・秋山亮太)
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「須磨ベルトコンベヤ」の始点。現在もベルトコンベヤーの一部が保存されている=神戸市西区見津が丘6(撮影・秋山亮太)
地下トンネルの内部。ベルトからベルトへ土が乗り替わる地点だった=神戸市西区伊川谷町前開付近(撮影・秋山亮太)
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地下トンネルの内部。ベルトからベルトへ土が乗り替わる地点だった=神戸市西区伊川谷町前開付近(撮影・秋山亮太)
スナゴケの栽培に活用されていた
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スナゴケの栽培に活用されていた
神戸ワインの貯蔵庫になったことも
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神戸ワインの貯蔵庫になったことも
神戸新聞NEXT
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神戸新聞NEXT

 神戸市須磨区と西区を縦断し、総延長約14・5キロに及ぶ「須磨ベルトコンベヤ」は、1964年から41年間にわたって神戸の都市開発を支えてきた。ピーク時には1日12時間稼働し続け、神戸空港の完成に合わせて2005年にその役目を終えた。(喜田美咲)

 6月上旬、取材許可を得て、西区伊川谷町前開付近の地下トンネルに足を踏み入れた。「この奥でコンベヤーが稼働していました」。市職員の説明を受けながら鉄柵の先にある暗い通路を進む。この日の神戸の最高気温は28・6度。地下は年間を通じて10度前後といい、ひんやりとして上着が欠かせない。

 入り口から下り坂を数分歩くと、突然視界が開け、高さ10メートル、横幅15メートルの巨大トンネルが現れた。無機質なコンクリート壁に覆われ、所々にベルトを支えていたコンクリートの柱が立つ。まるで地下につくられた神殿? いやコンサートホールのような光景に思わず息をのむ。

 ここは稼働時、ベルトからベルトへ土が乗り替わる地点だったといい、壁の傷跡や印が歴史を刻むように残っている。

 さらに、ベルトコンベヤーの始点である神戸複合産業団地(同区見津が丘)へ向かった。ここにはベルトコンベヤーが保存されていた。同団地で削り取られた土が、海を目指して絶えず運搬された。ローラーに巻き付いた太いベルトが、今にも「ゴゴゴ」と地響きを立てて動きそうだ。立ち入り禁止の先にベルトは延び、暗闇に吸い込まれていく。

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 ベルトコンベヤーの大半は撤去されたが、残った施設は“産業遺産”として利活用された。神戸市では2007年から施設の民間利用を実施。温度や湿度が一定に保てるトンネル内部の特長を生かし、一時は神戸ワインの貯蔵庫になったり、緑化パネルに用いるコケの栽培地になったりした。

 さらに近年、映画のロケ地として注目を集める。トンネルの高さや神秘的な内部の構造が制作会社の目に留まり、「デスノート ライトアップ・ザ・ニューワールド」(16年)や「鋼の錬金術師」(17年)などで銀幕を飾った。

 これまで5作品で使われたといい、映画のロケ支援を行う神戸フィルムオフィスの松下麻理代表(57)は「ごつごつした岩肌のトンネルや、天井が高い大空間などさまざまな表情を持ち、迫力あるシーンが撮影できる。トンネル内の温度が一定で、夏場は蒸気が発生することもあり、独特な雰囲気が制作関係者を魅了している」と話す。

 きょうも神戸空港では、須磨から運ばれてきた土砂を踏みしめて、飛行機が発着する。慌ただしい日々の中に溶け込んだ「便利さ」に、じっくり向き合ったことはあっただろうか。「人力」が作り上げた今の神戸を改めて実感した。

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