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須磨の山間部で稲作を続ける森彰さん=神戸市須磨区白川
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須磨の山間部で稲作を続ける森彰さん=神戸市須磨区白川
新緑に包まれる棚田=神戸市須磨区白川
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新緑に包まれる棚田=神戸市須磨区白川
“白川”に無数のメダカが泳ぐ=神戸市須磨区白川
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“白川”に無数のメダカが泳ぐ=神戸市須磨区白川

 深緑に包まれる棚田には小川が流れ、小鳥のさえずりが響く。神戸市須磨区の白川地区。住宅街を抜け、阪神高速北神戸線を西区方面に向かうと、そこには田園風景が広がる。かつて稲作農家が多くあったが、今では森彰さん(69)を含む2軒のみだ。「須磨とは思えん光景やろ」と田んぼを見つめながら話す森さんが、こんな質問をしてきた。「何で地名が白川か知っとお?」。あぜ道を歩きながら教えてもらった。(津田和納)

 「この水、見てごらん」。森さんが小川を指さす。無数のメダカが泳ぐ水は、白く濁って見える。「この辺の土地は石灰を含んでいて水が白くなる。だから、『白川』になったんや」と誇らしげに笑う。

 須磨観光協会によると、同地区の地盤は凝灰岩でできており、雨が降ると川が白濁したことから地名が付けられたという。土は粘土質で、「水分や養分が土中に蓄えられ、米どころと言われる地域よりも、おいしい米ができる」と得意げだ。

 森さんはサラリーマンだった約30年前に父親から田んぼを継いだ。「最初は手探りで管理も大変やった。でもな、この景色に長年励まされてやってきた」と振り返る。

 山に囲まれた田んぼには、軽トラック1台がやっと通れる幅の道が続く。大きなシカが飛び跳ねる光景もよく見掛けるといい、10年前からアライグマやイノシシも増えてきたという。森さんは「これだけ広くて山が近いと、対策にも一苦労やわ」と嘆く。

 例年、約5・5ヘクタールでコシヒカリ約2・4トンを生産しているが、田植えや稲刈りは重労働で、「続けられてもあと5、6年かな」。周りの休耕田には、雑草が生い茂っている。昔は米の生育に好影響をもたらす寒暖差があったが、最近は温暖化で平地とあまり変わらないという。

 帰り道、軽トラックから田んぼを見渡す。

 森さんは「日本の原風景が、どんどんと消えていくね」とぽつり。ただ、「草刈りも管理も大変やけど、体が動く限りはここで稲作を続けたい」と力を込める。

 須磨の“桃源郷”を守る農家の思いに胸が熱くなった。

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