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月に4日、披露される芸妓の踊り=カフェ・バー「一糸」
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月に4日、披露される芸妓の踊り=カフェ・バー「一糸」
踊りの後、客席でおしゃべりする一菜さん=カフェ・バー「一糸」
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踊りの後、客席でおしゃべりする一菜さん=カフェ・バー「一糸」
カフェ・バー「一糸」の外観 =カフェ・バー「一糸」
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カフェ・バー「一糸」の外観 =カフェ・バー「一糸」

 観光客でにぎわう湯本坂(神戸市北区有馬町)から1本路地を入る。町屋風の建物、その店内に設置された舞台に2人の芸妓が登場し、長唄や民謡などに合わせて艶やかな舞を披露する。芸妓の事務所にあたる「検番」の建物を改装し、2015年に開業した芸妓カフェ「一糸」。口コミで評判は広まり、現在ではリピーター客も増加。舞台がある第1、第3土、日曜日の昼間は、立ち見になることもあるという。有馬温泉徹底研究。第6限目は、県内で唯一となった有馬の芸妓文化に迫る。(川村岳也)

 舞台に立つのは芸歴20年の一菜さんと10年の一晴さん。約10人の観客を前に、有馬芸妓の歴史や服装などを分かりやすく解説する。にこやかに話していた2人も、音楽が流れると真剣な表情に変わる。季節に合わせてセレクトされた4曲に合わせ、扇子やうちわを使って優美に踊る。

 フランス・リヨンから訪れたというフェララ・ジョセフさん(60)は「西洋にないような踊り方が、日本的で素晴らしいと思った。着物に使われる色彩の感覚にも感銘を受けた」。一菜さんも「生の踊りを見てもらい、温泉のように日本の伝統に『つかって』ほしい」とほほえんだ。

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 有馬芸妓は、入浴者の誘導や宴会での踊りを行った「湯女」が起源とされる。これが明治の中頃に芸妓へと変化したという。最盛期を迎えたのは1960年代。当時は有馬温泉だけで15の「置き屋」があり、約150人の芸妓がいた。

 兵庫県内でも福原(兵庫区)、城崎(豊岡市)、宝塚にも多数いたが、時代の流れとともにお座敷の機会も減り、衰退していった。現在、芸妓は有馬のみとなり、21~87歳の約15人が所属する。

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 「芸妓」と「カフェ」。この二つの取り合わせはどのように生まれたのか。

 この道52年、有馬唯一の置き屋「田中席」を担う一七四さんらが、昼間はカフェ、夜はバー、月4日は歌と踊りを披露する一糸を立ち上げた。一七四さんは「(芸妓は)よそにはもういないからね。カフェやバーで気さくに触れ合ってもらって、芸妓の存在が広まれば」と話す。

 カフェやバーを切り盛りするのは白粉を落とした芸妓たち。気さくにおしゃべりできる雰囲気も受け、夫婦や家族連れなどで訪れる客も目立つ。

 一方で、伝統を守るため、ホテル、旅館でのお座敷のほか、温泉の繁栄を祈り、湯もみを行う新春恒例の「入初式」や春を告げる「さくら祭」、夏の「川座敷」、秋の「大茶会」などの年中行事に出演し、花を添える。

 最年少のすずさんは、このカフェで芸妓の存在を知り、昨年4月にこの世界に飛び込んだ。稽古に励み、先輩の所作を見習いつつ、カフェで接客の方法も学ぶ。すずさんは「いるだけで場を和ませることができる、姉さん方のような芸妓になりたい」と意気込んだ。

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