大学生の頃、ボウリング場へ通い詰めた時期があった。緊張するのは、左端奥の7番ピンだけが残ってしまった時。自分の実力を信じてカーブを投げ込むと、キュルキュル…と音を立てながら球が進む。ピンが倒れるかどうかは時の運だ。
久々に懐かしい気持ちを思い出したのは、神戸市兵庫区の柳原交差点から神鉄新開地駅へ車で向かっていた時だった。少し目線を上げると、ボウリング場が掲げる巨大なピンが目に入った。
その途端、道がレーンに見えてきた。自分の車はボウリング球。「倒してやる」と車を走らせる。ピンまで真っすぐたどり着ければストライク、途中で曲がればガターだ。結果は「…」。読者の皆さん。走って確かめてください。(伊田雄馬)
