神戸

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客の髪を整える井上三郎さん。窓からは神戸港が一望できる=ヘアーサロン井上
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客の髪を整える井上三郎さん。窓からは神戸港が一望できる=ヘアーサロン井上
長年、常連客らに愛された店内=ヘアーサロン井上
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長年、常連客らに愛された店内=ヘアーサロン井上

 店内の窓からは豪華客船が寄港する神戸ポートターミナル。空には神戸空港を離発着する飛行機を目にすることも。神戸港を一望できる神戸商工貿易センタービル(神戸市中央区)11階の理髪店「ヘアーサロン井上」が28日、49年の歴史に幕を下ろす。店長の井上三郎さん(76)は「神戸港の今昔を感じることができた、この店は天国やった」と振り返る。(川村岳也)

 井上さんは南光町(現・佐用町)出身。中学を卒業後、同郷出身者の社長が経営する「阿曽理容店」(同市中央区)で働き始めた。

 市内外に店舗を拡大する中、1970年、同センタービルに支店を出すことになり、店長を任された。前年の69年に完成した同センタービルは、当時、霞が関ビルディング(東京)に次いで、日本で2棟目の100メートルを超えるビルとして脚光を浴びていた。

 井上さんは「高層ビルゆえに、最初は水道のパイプがよく詰まる苦労があった。いつも、水が詰まったらどう対処しようかということが頭の中にあった」と話す。店長就任から12年後、支店を買い取り、ヘアーサロン井上として再出発した。

 店の自慢は窓から一望できる神戸港の景色だ。手前に見える神戸ポートターミナルに寄港する豪華客船の優美な姿は記憶に残っている。完成当時、世界最大の人工島と称されたポートアイランドについて「埋め立て地にまちが徐々にできていく様子をつぶさに眺めていた」と懐かしげに語る。

 同センタービルに入る会社の従業員らが主な常連さんで、故宮崎辰雄市長も来たことがあるという。

 「仕事は好きやね。(髪形を)お客さんに似合うようにするのも楽しい」と井上さん。妻の美千代さん(67)も「休みたいとは一度も聞いたことがない。寝言で『いらっしゃいませ』と言うのをよく聞いた」と笑う。それでも水回りの設備が老朽化してきたことに加え、客層の高齢化もあって、閉店を決めた。

 今後は、阿曽理容店時代の先輩が経営する理髪店(同市東灘区)で、働くことに。井上さんは「愛着ある店に別れを告げるのはいたたまれないが、30~40年来ている常連さんが『(先輩の)店に行くから』と言ってくれる。続けられる限りはハサミを握りたい」と気持ちを新たにしていた。

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