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アーティストらの催しでにぎわう「五宮市」の様子(五宮神社提供)=神戸市兵庫区五宮町
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アーティストらの催しでにぎわう「五宮市」の様子(五宮神社提供)=神戸市兵庫区五宮町
地域に親しまれている五宮神社=神戸市兵庫区五宮町
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地域に親しまれている五宮神社=神戸市兵庫区五宮町

 本紙神戸版で「兵庫マンスリー 古都回遊」(1~4月)が掲載された後、1通の便りが届いた。1人の女性が約50年にわたって神戸市兵庫区の五宮神社を守り続けてきたといい、送り主は「(女性が)数年前に亡くなられています。神社は今、どうなっているのでしょう」とつづる。取材をしてみると、意外な“今”が浮かび上がってきた。(小谷千穂)

 五宮神社は一宮から八宮を巡る「八社巡り」の一つ。眺めの良い高台の住宅街にあり、背後は山に囲まれている。境内は雑草が少なく、花も咲く。誰かが手入れしている様子があった。

 五宮神社と祇園神社の宮司を兼務する中島憲司さん(47)を訪ねた。5年前まで吉田文子(ふみこ)さんが五宮の宮守をしていたといい、「おしゃべり好きで参拝に来た方によく話をしていたので、(本紙に)お便りを出すようなファンがいてもおかしくないですね」。

 文子さんは、父親が五宮神社の神主で、境内で生まれ育ったそうだ。父は文子さんが30代のときに他界。40代で母親も失ったが、その後も1人で社務所に住み続け、本殿の手入れや境内の草抜きなどして長く宮守を続けていたという。

 中島さんは10年前に五宮神社の宮司を継ぎ、戦前を知る文子さんから、資料にはない神社の歴史を聞いてきた。どれも時代を生き生きと映すものだった。

 神社境内にある稲荷神社には福原や花隈の芸者が頻繁に立ち寄り、華やかだった。福原遊郭の楼主が建てる別邸が社殿を見下ろしてしまい、かさ上げした土地に社殿を移そうとしたこともあったという。神戸空襲で楼主の計画はなくなり、今も石垣だけが残る。

 神社の“生き字引”だった文子さんは5年前、93歳で旅立った。今は誰が神社を守っているのだろう。

 「2年ほど誰もいなくて、女性の画家さんが境内に住みながら手入れをしてくれています」と中島宮司。イベントを通じてこの女性画家と知り合い、3年前から五宮の宮守を引き受けてくれているという。

 女性は毎年5月の大型連休の時期に、音楽家や調理師、芸術家がブースを出す「五宮市」を五宮神社で開催。今年は新型コロナウイルスで中止となったが、毎年数百人が集まる人気だという。御朱印も手掛け、中島宮司は「画家ならではの迫力のある字。文子さんとは違う魅力で多くの人を引きつけてくれているんです」と話す。

 バトンは文子さんから女性画家に。五宮神社は2人の女性に守られ、しっかりと地域に根付いている。

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