神戸

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事務所でパソコンと向き合うオペレーションチーム。緻密な計算から積み降ろしに最適なコンテナの配置を決める=神戸市中央区港島8
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事務所でパソコンと向き合うオペレーションチーム。緻密な計算から積み降ろしに最適なコンテナの配置を決める=神戸市中央区港島8
高さ50メートルのガントリークレーンからコンテナターミナルを見下ろす。世界中各地のコンテナが積み上げられている
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高さ50メートルのガントリークレーンからコンテナターミナルを見下ろす。世界中各地のコンテナが積み上げられている
コンテナ船が入港。ガントリークレーンが大活躍する
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コンテナ船が入港。ガントリークレーンが大活躍する
プランナーの坂口太雅さん。船内のコンテナ位置の計画を立て、現場の監督に当たる
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プランナーの坂口太雅さん。船内のコンテナ位置の計画を立て、現場の監督に当たる
キウイフルーツを保管する総合物流センター青果棟=神戸市中央区港島6
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キウイフルーツを保管する総合物流センター青果棟=神戸市中央区港島6

■神戸港開港から荷役担う「上組」

 世界有数の貿易大国、ニッポン。天然資源に乏しい島国の経済は、海外との貿易なくして成り立たない。その土台というべき存在が、貨物船の運ぶ物資を取り扱う港湾物流業者。1867(慶応3)年創業の「上組」は、神戸港の開港当初から荷役を担ってきた。現在は国内の主要港湾に物流拠点を擁し、世界12カ国にネットワークを広げる同社発祥の地で、コンテナターミナルに密着。船の入出港に合わせて、“海のキリン”と呼ばれるガントリークレーンが立ち働く現場で、汗を流す人々の姿を追った。(杉山雅崇)

▼午前8時 朝礼        

 ポートアイランドの南東にある「上組神戸コンテナターミナル」(神戸市中央区港島)。早朝から約30人の作業員がターミナルの一角に集まり、恒例のラジオ体操を終えると、朝礼が始まった。

 同社港運部ターミナル現業課の加藤靖規担当課長(39)が、コンテナ船の到着時間や注意事項を丁寧に伝える。「一つのミスが重大な事故に発展しかねない。体も十分ほぐしてから、クレーンやフォークリフトを運転してもらっています」

▼午後2時 コンテナ船到着   

 コンテナを満載した貨物船が到着した。岸壁に横付けされると、早速作業が始まる。ここで活躍するのが、50メートル近い高さがあるガントリークレーンだ。

 クレーンの運転室にいるオペレーターは、地上作業員と無線で連絡を取りながら、スプレッダーといわれるつり具を操作。クレーンゲーム機のように、コンテナの四隅を固定してつり上げると、トレーラーの荷台に降ろしていく。

 数センチ単位でクレーンを操る技術は、まさに職人芸だ。

▼日中 コンテナの管理     

 ターミナルに整然と積み上げられたコンテナの山。輸出用、輸入用、空コンテナの3種類に分けられるが、その全てがコンピューターで一括管理されている。

 近くにある事務所では、コンテナを管理する同社の「オペレーションチーム」が、机上に並ぶパソコンのモニターをにらむ。コンテナ一つ一つの種類や位置から、最適な積み込み方をはじき出すのが役割だ。

 「一言にコンテナといっても、中身の重さも大きさもさまざま。それをどう組み合わせるかがポイント」と担当の寺澤純さん(45)が説明する。

 船のバランスを保つため、基本的に重いコンテナは下部に置く。また、コンテナ船は世界中の港に寄港するため、コンテナを置く順番も、積み下ろしする港の環境と密接に関わる。寺澤さんは「荷の位置の決め方は、まるでパズルのよう。船のスケジュールを考慮して差配するのが、腕の見せ所です」と話す。

▼午後3時 外国産フルーツ   

 コンテナターミナルから少し離れた「ポートアイランド総合物流センター青果棟」には、バナナ、パイナップル、キウイフルーツなど食卓でおなじみの輸入果物が保管されている。ちょうど到着したばかりのコンテナから、山積みのキウイの箱が次々と、フォークリフトで運ばれていった。

 キウイを保管する冷蔵庫に足を一歩踏み入れると、その寒さに驚いた。保管温度は、バナナが13~14度前後なのに対し、キウイは0~1度だという。

 果物は、入荷から2週間以内に市場や店舗に送られる。同社青果部の日和琢磨副部長(59)は「常に温度計を見ながらの作業で、バナナの温度管理には特に気を遣う。大変ですが、品質が第一」と完熟前の緑色のバナナを注意深く見つめた。

▼午後8時半 「プランナー」の仕事

 コンテナ船の到着は昼夜を問わない。この日も夜景の美しい神戸に、台湾・香港からの船が入港すると、すかさず「プランナー・フォアマン」と呼ばれる社員が動きだした。

 コンテナ船は、寄港地で積み降ろしを行いコンテナの位置が偏ると、バランスが悪くなる。そのままだと作業効率が悪化するだけでなく、安全な航行にも支障を来しかねない。積み降ろしされるコンテナを現場で把握し、積み込み位置のプランを臨機応変に変更するのが、彼らの仕事だ。

 坂口太雅(たいが)さん(22)は、港湾職業能力開発短期大学校神戸校(同市中央区)を卒業し、入社2年目。忙しく稼働するガントリークレーンのそばに陣取り、プラン資料と首っ引きで監督に当たる。作業員と船員の間の調整をこなし、積極的に取り組む姿勢は、上司からの信頼も厚い。

 「緊張感はありますが、作業が終わったときの達成感が気持ちいい。この仕事を天職だと思っています」

 爽やかな表情で語られる力強い言葉に“ミナトの男”の誇りを感じた。

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