土砂崩れなどの災害時に小型無人機ドローンを使って物資を山上へ配送する実証実験が6日、神戸市の六甲山で行われた。中腹の鉢巻展望台と山上の六甲山ビジターセンターを結ぶ直線距離約1キロを飛行させ、食料品や医薬品、ハザードマップなど7品を配送した。(谷川直生)
新型コロナウイルスの収束が見通せない中、市は市街地に近く密になりにくい六甲山上を、ビジネスや生活の拠点とする「六甲山上スマートシティ構想」を掲げており、実証実験はその一環。
ドローンベンチャーのトルビズオン(福岡市)が実験を主導し、違う顧客の荷物を混載することを想定して行われた。同社の増本衛社長(42)によると、混載便の実験は全国でも珍しく、顧客1人当たりの費用負担を軽減できることからビジネスモデルとして有望という。
湿布や漢方薬、すしなどの物資のほか、食品の鮮度を保つための保冷剤も積み込んだドローンが展望台を離陸。衛星利用測位システム(GPS)機能を使った自動運転で約5分で山上まで荷物を運ぶと、待機していた関係者らが状態を確かめた。
増本社長は「十分に配送できることが検証された。今後は遠隔診療と処方箋が必要な医薬品の配送を組み合わせるなど、新たな可能性を探りたい」。市の担当者は「例えば三宮の中心地から商品を配送するといったプランも夢ではない」と期待した。
