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特殊詐欺被害に遭った垂水区の女性。現金自動預払機(ATM)を指示通り操作すると、「振込」と書かれた明細が出てきた=神戸市垂水区内(画像を一部加工しています)
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特殊詐欺被害に遭った垂水区の女性。現金自動預払機(ATM)を指示通り操作すると、「振込」と書かれた明細が出てきた=神戸市垂水区内(画像を一部加工しています)

 高齢者を狙った特殊詐欺の被害が、兵庫県内で急増している。今年1~7月の被害件数は570件と、前年同期の約2倍。被害額は9億4800万円に上る。8月13日には神戸市西区の77歳の女性が計約4300万円、同市垂水区の77歳の女性が計約4200万円を複数回にわたってだまし取られる被害が判明した。

 県警によると、特殊詐欺について知ってはいても、「自分は大丈夫」と思い込み、だまされていることに気付かないケースが少なくないという。「少しでも被害を防ぎ、悲しい思いをする人を減らしたい」と、4月に還付金詐欺の被害に遭った女性(80)=同市垂水区=が、神戸新聞社の取材に体験を語ってくれた。

■「医療費控除手続きを」

 私は1人暮らしです。自動車で10分ほどの場所に住む長女が、週1回程度は様子を見に来てくれていましたが、4月ごろからは新型コロナウイルスの感染防止のため、訪問回数が減っていました。

 詐欺が増えているのは知っていました。近所の人もだまされかけたことがあります。警戒心は強い方で、番号が非通知の電話は着信拒否に設定済み。それなのに、まさか引っ掛かるなんて。

 電話があったのは午後1時半ごろ。「そろそろ散歩に出ようかな」と思っていたときでした。

 男の声で「累積医療費控除の申請の締め切りが過ぎています。11月に青い封筒で書類を郵送しましたが、届いていませんか」と尋ねられました。

 心当たりはなかったですが、「今から申請したら手続きできる」と告げられ、そのまま話が進んでいきました。

■魔法にかかったよう

 そこからは命じられるまま。「どの銀行を使っていますか」「近くの郵便局は」-。次々に質問を浴びせられ、パニック状態で答えていきました。携帯電話の番号も聞かれ、バスで金融機関に移動する間も、ひっきりなしに電話がかかってきました。冷静に考える時間を与えないための手口なのでしょうけど、魔法にかかったようでした。

 「その郵便局では手続きできない」と、人けのない遠方の現金自動預払機(ATM)に行かされたのも今考えるとおかしいですよね。

■不慣れなATM

 電話では「ATMで申請ができる」と言ってましたが、そんなシステムがないことは、後で警察の人から聞きました。ATMを使うのは預金を下ろすときぐらい。簡単に振り込めるとは知らず、携帯電話で男の指示を聞きながら、操作をしました。

 スタート画面で振り込みを選び、言われるがまま、暗証番号やたくさんの数字を押して。後ろに次の人が待っているので気が焦り、画面の表示をしっかり見ることもなく、必死でした。

 1回目は36万9236円、2回目は95万3165円が何者かに振り込まれていたそうです。振込額の数字を押した意識なんてなかった。2回目の操作後、書類が出てくると思ったら、利用明細が出てきて初めて不審に思いました。急に怖くなり、息が苦しくなりました。

■周囲の人が声掛けを

 入院などに備えての大事な預金でした。2回目の振り込みは時間が遅く、翌営業日の処理だったので、警察が止めてくれましたが、悔しくて、情けなかった。

 一度電話を受けると冷静になれず、家族に相談する時間もありませんでした。携帯電話で話しながらATMを操作している人を見たら、周囲の人は声を掛けてあげてほしい。

 その後も、何回か不審な番号から電話があります。受話器を取らずに表示番号をメモして、安全な番号だと確かめてから、かけ直すようにしています。

    ◆    ◆    ◆

 神戸市内の1~7月の特殊詐欺の被害件数・額は、垂水区が最多で計45件約4千万円。次いで須磨区が計35件約5千万円だった。

 兵庫県警垂水署は「いったん電話をとってしまうと、口がうまい相手のペースに巻き込まれ、被害につながる」と指摘。電話は留守番設定にして、知らない番号には出ないよう注意喚起。知らない人からの「お金」にまつわる内容であれば、迷わず警察に相談するよう呼び掛けている。

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