夜明けの神戸、哀愁の音色 追悼のトランペット演奏

2021/01/17 21:30

神戸の街に向け、鎮魂の音色を響かせた松平晃さん=神戸市中央区、ビーナスブリッジ(撮影・大山伸一郎)

 人々の黙とうがささげられた直後の午前5時47分。トランペット奏者の松平晃さん(78)=川崎市=が、ビーナスブリッジ(神戸市中央区)で、哀愁を帯びた音色を響かせた。 関連ニュース 「母と息子が埋まってる」静まりかえった街を靴下で走った 「なぜ、あのとき抱いてやらなかったのか」今も悔い 消えかける長男の文字、消えない人の絆 「お母さんと先に避難しとけ」父の最後の言葉 助けられなかったこと、今も悔やむ

 阪神・淡路大震災前日、神戸へ公演に訪れた縁があり、1999年から毎年演奏。報道陣に囲まれ、ライトを浴びた松平さんは、神戸の街がイメージされたという「花の街」、東日本大震災の復興支援ソング「花は咲く」の2曲を演奏。わずか2分余りの旋律に、数組の親子連れらがじっと耳を傾けていた。
 毎年各地で200回以上演奏するが、昨年は新型コロナウイルスの影響で半減したという。松平さんは「最悪、来られないことも頭をよぎった。鎮魂と励ましの音色を届け、皆で手を組んで困難を乗り越えようという思いだった」と語った。(井川朋宏)

神戸新聞NEXTへ
神戸新聞NEXTへ