震災機に誕生のスティールパン楽団 世界大会1位

2021/01/21 05:30

世界大会初出場で部門別1位を獲得して喜ぶ「ファンタスティックス」のメンバー=神戸市長田区西尻池町3

 阪神・淡路大震災を機に神戸市長田区で生まれたスティールパン楽団「ファンタスティックス」が昨年12月、初めて世界大会に出場し、部門別で1位に輝いた。新型コロナウイルスの感染拡大で大会がオンライン開催となったことで、チャンスをものにした。結成20年目の記念ライブが中止になるなどコロナ禍で思うように活動できずにいたが、「地元に明るい話題を届けられた」とメンバーは胸を張る。(小谷千穂) 関連ニュース 競技歴7カ月でまさかの全国大会も…コロナで出場幻 「次は実力で」と意気込む16歳 市主催のバンドコンテスト 民間委託したら…参加20倍に 野球一筋から一転、アメフトで「日本一目指す」 初心者で名門校レギュラー勝ち取った選手

 スティールパンはドラム缶を音階が出るように加工した打楽器。カリブ海の島国トリニダード・トバゴの黒人が、伝統楽器を植民地化で取り上げられ、代用としたのが始まりという。
 ファンタスティックスの結成は2001年4月。新長田地区で復興途上の商店街を盛り上げようと模索していた商店主らが、「逆境から立ち上がる楽器のイメージが長田にふさわしい」と目を付けた。
 現在のメンバーは神戸・阪神間在住の23人で、10~80代と年代もさまざま。仕事や授業が終わった後に練習を重ね、関西や全国の被災地で演奏を披露してきた。
 毎年夏には「KOBEスティールパンカーニバル」を主催し、昨年は記念すべき20回目を迎えるはずだったが、新型コロナの影響で断念。運営するスクールの参加者も減り、メンバーにも先行きが見えない不安が募っていた。
 そんなとき、南アフリカで毎年開かれる「国際マリンバ&スティールパンフェスティバル」への誘いが、舞い込んできた。きっかけは、カーニバルに招く予定だった世界的演奏家のアンディ・ナレルさん。中止の連絡を入れたところ、「僕の関わってる大会に参加したら」と打診された。
 新型コロナで演奏動画によるコンテストに切り替えられたため、日本国内から参加でき、「目標になる」と出場を即答した。
 13部門にエントリーしたのは、欧米や豪州など7カ国のグループ。ファンタスティックスは、12人以上の編成で自由曲を演奏する「OL1」部門に挑戦した。おはこの「オー・シャンゼリゼ」を、「シャンゼリゼ通りがコロナ終息でにぎわいを取り戻す」というイメージで編曲。途中からテンポが上がる、心の弾むような演奏で出場計7グループのうち1位に選ばれた。
 メンバーの川池知代さんは「賞は期待していなかったので、まさかの出来事。ずっと応援してくれている長田の人たちに少し恩返しができた」と感激。喜びを糧に、震災の傷跡が残る街で活動を続けていく。
 楽団の演奏は、ユーチューブの「steelpanfanta」チャンネルで視聴できる。

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