ガーじぃが見たスマスイ 一部閉館を前に(1)まずは自己紹介

2021/02/16 05:30

ワシがガーじぃじゃ=神戸市須磨区若宮町1(撮影・秋山亮太)

 神戸市須磨区の須磨海浜水族園、スマスイ言うんやけど、ワシはそこの「世界のさかな館」に住んどる。鼻が長い淡水魚「ロングノーズガー」じゃ。生まれも育ちもスマスイ。1977年生まれじゃから…今は43歳。誕生日は3月1日で、もうすぐ44歳になる。人間やったら働き盛りやけど超高齢魚なんじゃ。2014年から世界最高齢の記録を更新し続けとる。なんで今回ワシが出てきたかっていうとな、今のままのスマスイが2月末で終わるんじゃ。本館だけは2年後の5月までやねんけど、イルカライブ館やラッコ館、レストラン、ワシが住んどる世界のさかな館とか、東側にある15施設を取り壊して新しく整備するんじゃて。さびしいのぅ。 関連ニュース スマスイの“ガーじぃ”44歳に 世界最高齢更新「リニューアル見届けたいんじゃ」 スマスイ「ペンギン広場」新設 3月から本館のみの営業に 神戸で新たに9人感染 10歳未満から70代までの男女

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■いっちょ知っとぉこと語ったろ思って。
 初めまして。
 で、ええんかな。実はワシに会うたことある人、多いじゃろ。一応、自己紹介しとくわ。
 須磨海浜水族園、スマスイ言うんやけど、そこの「世界のさかな館」に住んどる。鼻が長い淡水魚「ロングノーズガー」じゃ。生まれも育ちもスマスイ。1977年生まれじゃから…今は43歳。誕生日は3月1日で、もうすぐ44歳になる。
 人間やったら働き盛りやけど超高齢魚なんじゃ。2014年から世界最高齢の記録を更新し続けとる。毎日エサ食って、他の魚たちにぶつからんよう、ゆったり泳いどるだけなんじゃが。おたく(神戸新聞)の記者も、毎年誕生日に取材しに来はりますわ。ここのスタッフはワシのこと、「じい」とか「ガーじい」とか呼んどる。みんなも呼んでええんじゃぞ。
 両親は米国出身。クリーブランド水族館っちゅうとこから、54年前に前身の「須磨水族館」に来た。
 こっちで産卵したんじゃが、これもニュースになったらしい。水槽内での繁殖ってのが国内はもちろん、世界でも初めてやったんじゃて。今でも日本では例がないらしいぞ。こんときは兄弟が200匹ぐらいおったんじゃけどなぁ。
 なんで今回ワシが出てきたかっていうとな、今のままのスマスイが2月末で終わるんじゃ。本館だけは2年後の5月までやねんけど、イルカライブ館やラッコ館、レストラン、ワシが住んどる世界のさかな館とか、東側にある15施設を取り壊して新しく整備するんじゃて。さびしいのぅ。
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 旧館は1957年にできて、87年に建て替えて今のスマスイになった。
 この年は全国の水族館で初めて来園者が200万人を超えたんじゃ。今ある施設はその頃から、どんどん増やされていったもんじゃ。派手ではなくとも、みんなそれぞれの施設に思い出あるんちゃうか。
 ワシは、今の施設ができる前からおる。阪神・淡路大震災も生き抜いた。ちょっとした有名魚でもあるし、いっちょ知っとぉこと語ったろ思って。付きおうてくれんかのぅ。(小谷千穂)

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