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来来亭の出下すが子さん(右)と康一さん=神戸市中央区元町通5
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来来亭の出下すが子さん(右)と康一さん=神戸市中央区元町通5
サンコウ書店の西川和秀さん=神戸市中央区元町通4
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サンコウ書店の西川和秀さん=神戸市中央区元町通4

■思い出連れ近隣で再出発

 モトコー(神戸市中央区)では今、再整備に向けた立ち退きが進む。7区画のうち、3、7番街はすでに封鎖され工事中。2、4~6番街も数店舗を残し、ほとんどのシャッターが下りた状態だ。

 再整備が終われば戻る店がある一方、この地を離れることを決めた店も。「49年間楽しかった営業ありがとう」「皆さまの小さな楽しい思い出となれば幸せ」。シャッターの張り紙には、移転や閉店の告知と共に、そんな手書きの言葉が添えられている。近くで再出発した店も多い。思い出と常連客を連れ、モトコーを去った店主を訪ねた。

◆来来亭

 1972年4月から2番街で続いたラーメン店「来来亭」。出下(いでした)すが子さん(64)と夫の康一さん(65)が営む。康一さんの両親が三宮や新開地など市内各地で店を出し、最後に定着したのがモトコーだった。

 カウンター内で動くたびに背中が壁に当たるほど狭い店内。それでも夫婦は当初、「いずれ戻りたい」と思っていた。親子4代で通う家族。神戸に寄ると必ず来る県外の客。会社員や地元住民。多くの常連客がいたからだ。ただJR西日本との話し合いがうまくいかず、やむなく出ることに。

 モトコーから南に約100メートルの新店は、昨年9月に開いた。物件探しが難航すると、何人もの客が「おっちゃん、ええ場所あったで」「あそこ空くみたいやで」と声を掛けてくれた。移転の際には、工務店を営む常連客が、前の店にあった看板やドア、キッチンなどを再利用して、昔ながらの雰囲気を再現してくれた。

 広さは3倍となり、夫婦は「歩かなあかんわ」とぼやく。壁にはかつての店内を描いた水彩画が掛かる。忙しく働く2人の姿と、店の外観の2枚。これも常連客からプレゼントされた。すが子さんは「続けるかどうか、一度は心が折れかけたが、お客さんに守られた」と感慨深げ。康一さんは「変わったのは、水がお茶になったことぐらいかな」と笑った。

◆サンコウ書店

 古書店「サンコウ書店」は、西川和秀さん(61)が1996年に開いた。勤務先がバブル後に倒産し、選んだ仕事が古本を扱う店の主人だった。幼い頃見た古書店で、専門的な会話で盛り上がる店主のおっちゃんと常連客が楽しげだったからだ。

 開店すると、個性的な客が出入りし、朝から晩まで雑談する日々が始まった。話すために順番待ちする人もいた。楽しくて「一生モトコーでやっていこう」と思い始めた頃、再整備事業の話が飛び込んできた。

 きれいに変わっていくモトコーではなく、今までと同じ雰囲気を求め、出ることを決めた。それでもあの場所からは離れがたく、再スタートは道を1本挟んだ場所にした。広さは1・5倍になったが、蔵書も倍の1万冊以上に増やしたため、相変わらず狭い。頭上から聞こえる電車の音がないのが物足りず、今は無理やり洋楽などを流している。

 幼い頃に見た古書店そのままに、楽しく営業し続けたい。新たな場所でも“モトコーらしさ”を追求していく。(小谷千穂)

=おわり=

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