東京五輪パラリンピック 私の役割 陸上監察員 井上洋佑さん
2021/07/19 05:30
自らも目指した五輪の舞台で、陸上の監察員を務める井上洋佑さん=神戸市長田区池田谷町2、長田高校
■形変え憧れ実現 地元に経験還元
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東京・国立競技場で開かれる五輪とパラリンピックの陸上で、監察員を担う。トラック種目では選手がレーンからはみ出していないか、リレーではバトンゾーンから出ていないかなど、確認する役目だ。「一番近くで見ているプレッシャーがある。失格に関わってくるので、責任は大きい」と気を引き締める。
神戸市須磨区出身。長田高校時代、男子1600メートルリレーで全国高校総体優勝を飾った。筑波大学4年生だった2005年、同種目で世界選手権日本代表になり、「選手村の雰囲気も、競技のレベルも、何もかもすごかった」。08年の北京五輪を目指したが、夢の舞台には届かなかった。
「いい先生に出会えて人生が変わった」と思えたからこそ、保健体育教諭になり、故郷に戻った。現在は母校の高校で勤務し、陸上部顧問を務める。指導者として実績を重ね、今年の全国高校総体には2選手を送り込むが、「五輪と日程が重なって同行できないので、遠隔でアドバイスを送る。それぞれの場所で頑張ろう」と教え子と誓い合う。
オンライン研修を受けたり、国際大会のルールを覚えたりして備え、「自分がやっていた男子400メートルやマイル(1600メートル)リレーを間近で見たい。五輪への憧れを、選手とは違う形だけどかなえられてうれしい」と心待ちにする。「しっかりと役割を果たし、いい経験を持ち帰りたい」。東京での収穫を兵庫にも還元するつもりだ。西宮市在住。(金山成美)