「下町芸術祭」丸山地区が初の会場に 立地生かしたアートやイベント
2021/10/17 11:08
バラックリンの内部で、巣のようなオブジェに座る中村邦生さん。「なんじゃここは!!と体感してほしい」=神戸市長田区長田天神町7
神戸市長田区で2年に一度の「下町芸術祭」が開かれている。4回目の今年は、かつて別荘地として開発され「神戸の奥座敷」と呼ばれた丸山地区が初めて会場に。印象的なすり鉢状の急斜面を生かし、地元の若手作家らが「丸山 宙を上る街道」と題した企画を展開する。
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新長田と駒ケ林を含む3地区で展開。約10会場で30組超の作家がアート作品を展示するほか、ダンスなどのパフォーマンス、まちについて楽しく学ぶ講座を開く。
丸山地区では、急斜面の竹林沿いに立つ「バラックリン」が異彩を放つ。約10年前から無人となって荒れ果てた建物で、札幌市出身のアーティスト中村邦生さん(23)が4月から暮らしながら、仲間と改修を重ねて作品化した。
「秘密基地のようなわくわく感を大事にしている」といい、廃材などを組み立て、鳥の巣のような空間を構成。屋上で録音した風や鳥の鳴き声などの環境音を流し、17、24日の午前11時~午後4時に観客を迎える。
神戸電鉄丸山駅では、土日限定で戦前からの地元の風景写真を展示。苅藻川沿いの空き地にはアーティスト滑川みざさんのオブジェ、街道沿いの空き店舗に美術作家宮崎みよしさんらの作品が並ぶ。
企画に関わる上野天陽さん(24)は地元出身で、空き家や空き地の活用で地域活性化を目指す丸山プロジェクトの代表を務める。「丸山はまだまだ可能性を持った街だと知ってほしい」。24日午後3時半から、ゲストらとトークイベント「長田の奥座敷『丸山』の可能性」を旧大日温泉で開く(要予約、定員20人、500円)。同日は丸山地区で無料のダンスパフォーマンスやライブペインティングもある。
会期は24日まで。下町芸術祭のウェブサイトで企画や展示を紹介し、予約も受け付ける。一部企画は有料。主催団体の新長田アートコモンズ実行委員会TEL078・647・7430
(小林伸哉)