神戸市長選 出口調査分析
2021/11/02 05:30
神戸新聞NEXT
■支持政党と投票先 無党派7割、現職支持
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神戸新聞社の出口調査によると、神戸市長選で3選を果たした久元喜造氏=自民、立民、公明、国民推薦=は、支持政党の枠を超えて幅広い票を集めたことが、大差での当選につながったとみられる。久元氏は自民と公明の支持層を固めるとともに立民、国民、維新の支持層にも浸透。無党派層の7割近くからも支持された。
出口調査は市内46カ所の投票所前で行い、約2600人から回答を得た(四捨五入の関係で、比率の合計は必ずしも100%にならない)。
回答者の支持政党は、自民が28・7%で最多、維新が20・1%で続いた。立民は9・1%、公明が5・9%、共産4・4%など。支持政党なしの無党派層は25・8%だった。
久元氏は、自民と公明のいずれの支持層からも約8割の票を得た。さらに立民、国民いずれの支持層からも6割強の票を集めた。維新支持層でも6割強から得票するなど、2期8年の実績を背景に幅広く強さを発揮した。
兵庫労連事務局次長の岡崎史典氏=共産推薦=は支持層を固めきれず、共産支持層からの得票が約5割にとどまった。弁護士の鴇田(ときた)香織氏は立民、維新、国民支持層の約1割から得票。元加西市長の中川暢三氏は維新支持層からの得票が1割を超えた。空手道場代表の酒谷敏生氏は全体的に伸び悩んだ。
無党派層でも、久元氏が圧倒的に支持を集めた。鴇田氏と中川氏の得票は1割強で、岡崎氏と酒谷氏は1割に満たなかった。
(森 信弘)
■新市長に求める施策 「経済政策」重視が最多
出口調査で「選挙で選ばれた市長に力を入れてほしい取り組み」を尋ねたところ、「経済・産業政策」が26・9%で最多だった。新型コロナウイルス禍で打撃を受けた経済の回復や、生活の安定を期待する人が多いことがうかがえる。
2番目に多かったのは「医療・福祉の充実」(15・8%)、3番目は「子育て・教育施策の充実」(13・1%)だった。
冬に向けて再拡大が懸念される「新型コロナ対策」は8・3%。市の財政が厳しさを増す中、争点の一つとなった「三宮など都心再整備」は5・5%。運用の規制が緩和された「神戸空港の活用」は1・4%にとどまった。
一方、取り組みと投票した候補の関係をみると、項目別最多だった「経済・産業政策」を求める人の72%が久元氏を選んだ。久元氏以外では、岡崎氏が「医療・福祉の充実」を求める人の16・4%から得票。鴇田氏と中川氏が「市役所改革」を求める人から、それぞれ15・1%の票を得た。(森 信弘)
■世代、男女別の動向 10代7割久元氏投票
世代ごとの投票先を出口調査結果でみると、全ての世代で、久元氏に投票した人が最も多かった。
特に70代以上と10代では、7割強が久元氏に投票。40~60代でも7割弱の票を集めた。最も少なかったのは20代の6割弱だった。
その他の候補で、年代別で久元氏に次ぐ支持を集めて強みを見せたのが、岡崎氏の70代以上(10・8%)、鴇田氏の20代(12・2%)、中川氏の30代(13・4%)だった。
回答者の内訳は男性54・6%、女性45・1%。男女いずれも久元氏が7割弱の票を得た。唯一の女性だった鴇田氏は同性の得票が1割強にとどまり、女性票を取り込みきれなかった。(森 信弘)