火災や事故を動画で通報、2年で108本 神戸市消防局、応急処置支援動画の送信も開始
2021/11/18 05:30
心臓マッサージの方法を指導する動画。119番した通報者のスマートフォンに送信する=神戸市消防局
神戸市消防局が、火災、事故現場などの様子を通報者から動画で伝えてもらうシステム「Kobe Live(コウベ ライブ)119」を全国で初めて導入してから今月で丸2年となった。この間、計108本の映像が送られた。さらに同局は今月から、通報者へ傷病者の応急手当てを行ってもらうための指導動画の送信も始め、救急対応をより強化する構えだ。(初鹿野俊)
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同システムは2019年11月にスタート。119番した市民のスマートフォンに消防管制室からショートメッセージを送り、通報者は届いたアドレスを開いてカメラを起動し、現場を写す。動画は管制室に中継され、状況把握に役立てられる。緊迫した状況下でも正確な情報伝達が期待でき、けが人や病人が多数いるような事案では、現場に向かう指揮隊にも映像を送って迅速な対応に生かしている。
市消防局では、通報者に撮影方法を効率的に伝える職員研修も実施。こうした取り組みもあり、撮影を依頼した件数に対し、管制室に動画が届く割合は当初の3割から7割程度まで上がったという。通報者の操作が不慣れだったり、電波が不安定だったりするケースもあるため、担当者は「映像送信にこだわって時間を取られてはいけない。諦めて、通話での情報収集に切り替えるなどの見極めも大事」と話す。
さらに今月からは、救急出動を要請してきた通報者に、してほしい初期対応を分かりやすく解説した動画を送信する取り組みも始めた。内容は、心臓マッサージ▽喉詰まり時に背中をたたく-といった対処法で、傷病者の年代・状況ごとに計6種類の映像を準備。救急隊到着までの間に、通報者は「ライブ119」の手順で受け取ったアドレスを開き、映像を見ながら胸骨圧迫などの応急手当てを施す。動画は30秒前後で、繰り返し見られる。11月1~8日に9件の事案で通報者に動画を送ったという。
119番を受けてから、救急隊が現場に到着するまでの所要時間は平均8分。同局司令課は「症状を悪化させないために応急手当ては重要。正しく措置してもらうために動画を積極的に活用し、啓発にも力を入れていく」としている。