<これぞ神戸流>東灘日本語教室代表 延原臣二さん(81) 外国人の学び、相談の場に
2022/05/11 05:20
東日本語教室で代表を務める延原臣二さん=神戸市東灘区深江南町4
食品工場が立ち並ぶ神戸市東灘区の深江地区。雑居ビル2階にひっそりとした構えの「東灘日本語教室」(同区深江南町4)がある。
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学びにやってくるのは、工場に勤務して、近くに住んでいる日系のブラジル人やペルー人などだ。
この教室で約15年にわたり代表を務める。「ただ日本語を学ぶだけではなく、悩みを相談できる居場所にしたいんです」。思いはずっと変わらない。
大学ではスペイン語を専攻。NHKに記者として長年勤務し、定年退職後、同教室の支援者に応募した。
だが、いざ教えてみると想像以上に難しかった。「母国で教育を受ける機会がないまま大人になった人も多い」。「勉強の習慣がなく、日本語もなかなか身に付かない」。背景は複雑だ。
あるとき「教え込もうとするとうまくいかない」と気付いた。テキストや教え方を変えるなど試行錯誤を重ねた。教えることよりも、寄り添う姿勢を重視し、「できるだけ長く通ってもらう」ことを目標にした。
始めて2~3年で2代目代表になってからも居場所づくりにまい進した。積極的に悩み相談に乗り、外国人同士や地域住民とのゲームや歌などの交流イベントも企画する。
近年は、新型コロナウイルス禍で技能実習生らが入国できず、教室に通う人は減る一方。それでもオンラインなどで学習機会は確保している。
「もういい年なので後継者を探さないと」とほほ笑みながら「春からは日本文化を楽しめる講座も考えている。新しいことをもっとしつこく提案したい」と本心を語る。熱意は冷めない。(綱嶋葉名)
【2022年3月13日掲載】