児童虐待相談、最多2934件に 子どもの前で激しい夫婦げんか「面前DV」増加 神戸
2022/07/09 05:30
神戸新聞NEXT
神戸市は、2021年度に市こども家庭センター(児童相談所)へ寄せられた児童虐待の相談件数が、集計開始から最多の2934件(前年度比213件増)に上り、8年連続で増えたと明らかにした。虐待の対象は小学生以下が77%を占めた。命に関わる事案はなかったという。(名倉あかり)
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相談件数は00年度から毎年集計している。市家庭支援課によると、全国的に深刻な児童虐待事件が頻発する中、虐待に対する関心の高まりや、市民らの認識の変化が相談件数の増加につながっているという。同課担当者は「虐待そのものではないが、虐待の疑いがある事例が増えている。漏れなく対応したい」と表情を引き締める。
21年度の相談では、虐待者は実母が全体の56%、実父が38%を占めた。虐待を受けた子どもは、小学生が35%と最も多く、3歳~未就学児22%▽3歳未満20%▽中学生15%▽高校生、その他8%-と続いた。
相談内容は、暴言などの「心理的虐待」が1591件で半数を超えた。「身体的虐待」は828件で、全体の28%。どちらも前年度に比べてそれぞれ約100件増えた。
心理的虐待では、子どもの前で激しい夫婦げんかをする「面前DV(ドメスティックバイオレンス)」の通報が増加傾向にあるという。
「保護の怠慢・拒否(ネグレクト)」についての相談は485件あり、17%。性的虐待は30件だった。
相談経路は、連携する警察からの通告が最多の約54%で、次いで近隣や知人が約21%だった。
虐待防止に向け、同センターは22年度、児童福祉司17人と児童心理司2人を増員。一時保護所の職員も5人増やす。担当者は「子どもの命が救われる場合もある。少しでも気がかりなことがあれば、迷わずに通報してほしい」と呼びかけている。
虐待に関する相談は、市こども家庭センターTEL078・382・2525、児童相談所全国共通ダイヤル(TEL189)へ。