神戸・三宮で起きた36年前の殉職 警部補の志胸に、治安への思い高める 生田署で追悼
2022/07/15 05:30
献花台に向かって礼をする生田署員=生田署
36年前、神戸市中央区・三宮のJR三ノ宮駅北側路上付近で職務質問した男に刃物で刺され、殉職した兵庫県警生田署の留(とめ)秀行警部補=当時(26)=の追悼式が14日、同署であった。署員たちは留警部補を悼むとともに、治安の向上に向けて思いを一つにした。
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事件は1986年7月14日に起きた。同日午前3時半ごろ、留警部補は同僚と2人で、三宮で横行していた出店荒らしのパトロールをしていた中、不審な男を発見。職務質問すると、男は逃走した。追跡して追いついたが、男に隠し持った刃物で脇腹を刺された。
留警部補は重傷を負ったにもかかわらず、刺された後も約20メートル男を追いかけた。苦しさにあえぎながら同僚に「頼む」と伝えて意識を失い、その後亡くなった。
県内の警察官らが集まって行われる柔道大会や逮捕術大会にも出場。署長から5回表彰を受けるなど、熱い志を持った署員だったという。
この日の追悼式では、同署員が黙とうし、留警部補の写真が飾られた祭壇に花を手向けた。
同署の浪花和志署長は「留警部補の誇り高い行為と意志を胸に刻み、署員一丸となって治安の向上に努めたい」と話した。(領五菜月)