一軒家を飼育場にリフォーム、1匹10万円超も… 兵庫でも広がるメダカブーム
2022/10/13 05:30
ゆたかメダカの中西晴美さん(左)と長男の咲駆君=神戸市兵庫区五宮町
新型コロナウイルス禍でメダカのペットブームが広がり、趣味や副業で、繁殖させた個体を販売する人が増えている。兵庫県内でもここ数年で販売所があちこちにでき、一軒家をメダカ専用の飼育場にリフォームした人もいる。高い場合は1匹10万円以上の値も付くことも。人はなぜ、メダカに熱狂するのだろう。(山脇未菜美)
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神戸市兵庫区五宮町の住宅街にある普通の一軒家。中に入ると、ぶくぶくと水中に酸素を送る器具の音だけが流れる部屋に、メダカが泳ぐ水槽が並ぶ。その数50種類以上。水槽には1匹数千円~1万円超とそれぞれに値札が張られている。
「メダカで商売? と半信半疑で始めたんですが、こんなにはまるなんて」
そう話すのは、販売所「ゆたかメダカ」を運営する主婦中西晴美さん(42)。2018年に母親が亡くなり、弟と実家の活用策を考えていた頃、あるネットニュースに目が留まった。
「希少メダカ1匹に100万円の値段」
メダカは、水と入れ物さえあれば素人でも育てられる。調べると、人工的に交配させた改良種の数は今年4月時点で774種。希少種ほど値段がつり上がる。
「趣味の延長でできるかも」。元々メダカの繁殖をしていた弟と意気投合した中西さんは、実家の床に断熱材を敷き、水槽用の棚を設置。寒い時期はストーブで室温を20度以上に保ち、年中メダカが育てられる環境を整えた。
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体の形や色、ひれの長さ、目の色や形、光沢の入り方。メダカといっても個体差があり、美しく育てあげるのは難しい。ひれがサメの形をした改良種をつくりたいと、1年間、同じ品種を掛け合わせたこともあるが、「ひれがとがったと思えば光沢が消えたりね。理由が分からない。お金のかかる趣味ですよね」と中西さんは苦笑いだ。
それでも繁殖した個体をネットで紹介すると、口コミで客が訪れるように。客はメダカマニアが多く、1匹を買うのに滞在時間が2時間を超えることも。みんな一様に、メダカを透明な容器に移し、なめるように眺めるという。
県内では中西さんのほか、「Kobeめだか屋ゆぃ(神戸市西区秋葉台1)」、「おにぃのめだか屋(明石市林崎町3)」など続々と新しい店が増えている。
中西さんは、メダカ人気の理由をこう語る。「メダカを飼っていると、少しでもいい個体、いい遺伝子がほしい気持ちが生まれる。(アニメの)ポケモンみたいな、つい集めたくなるコレクション性があるんだと思います」
ゆたかメダカの営業時間は日、月曜以外の午後1時~日没。TEL078・955・4257