「犯罪被害者の問題改善、非常に重要」連続児童殺傷事件遺族、土師守さん講演 神戸

2022/10/28 05:30

事件後の経験や犯罪被害者をめぐる問題について話す土師守さん=神戸YMCA三宮会館

 1997年の神戸連続児童殺傷事件で次男の淳君=当時(11)=を亡くした土師守さん(66)が26日、神戸市中央区加納町2の神戸YMCA三宮会館で講演した。犯罪被害者を巡るこれまでの歩みを述べ、「犯罪被害者の現状を改善することは社会のセーフティーネットの一つ。非常に重要と理解してほしい」と訴えた。 関連ニュース 加西市、再生エネルギー浸透へ新会社 太陽光発電所を整備、公共施設手始めに供給目指す 神戸スティーラーズ、応援しよう 県民対象に300円で観戦券販売 1月19日ノエスタ 楽天・小深田「また受賞を」 ソフトバンク育成・津嘉山「プロで頑張る」 神戸国際大付高OB会が激励

 国際奉仕団体ワイズメンズクラブに所属する神戸ポートクラブの主催。1988年の設立以来、毎月例会を開き、今回は土師さんが講師を務めた。
 土師さんは事件直後から過熱報道による二次被害にあい、「家のカーテンを開けることができたのは事件の約2カ月後だった」と打ち明けた。
 被害者や遺族が直面する問題について、身体被害や長期間の精神被害▽経済的な損害▽マスコミ、周囲の人々による二次被害-などと説明した。「憲法では被疑者の権利を守る記述があるが、犯罪被害者は基本的人権以外何も擁護されていなかった」と強調した。
 「全国犯罪被害者の会(あすの会)」の立ち上げや、犯罪被害者等基本法などが成立していった経緯を当時の写真や記録で振り返った。土師さんらはその恩恵を受けられないが、「僕たちと同じような気持ちを次の被害者にさせないようにと動いていた」。
 また、多くの被害者が加害者から損害賠償金の支払いを受けられていない現状も報告。「犯罪被害は誰にでも起こりうると理解し、被害者を巡る問題を考えてほしい」と呼びかけた。(篠原拓真)

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