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 「ふれあい」と私の最終回は、人生や生活の節目に投稿し、その作品を大切にしていただいている話を紹介します。

▼掲載紙は宝物

【松原和代 加古川市 主婦 73歳】

 1986年、私が42歳の時、中学3年の娘がバースデーケーキを作ってくれました。うれしくて、投稿したのが初めて掲載されました。

 それから夫の定年、娘の結婚、両親との別れと節目節目に投稿し、私の「人生録」のようです。今読むと、鮮明にその時のことが思い出され、泣いたり、笑ったり。掲載された新聞は私の宝物として、大切に保管しています。

 最近は掲載されると、友人が息子に知らせてくれ、すぐに「おめでとう」とメールが来ます。昨年、主人は遠いところへ旅立ち、胸に大きな穴が開きました。涙、涙の日々ですが、「ふれあい」欄を読み、一日がスタートします。

 ウオーキングでツクシやワラビを摘んで煮物にし、タラの芽は天ぷらにして、仏前に供えます。一緒に歩いてくれる友人に感謝し、一人ではないよと自分に言い聞かせ頑張っていこうと思います。

▼冊子にまとめ

【土肥可越里 加東市 主婦 79歳】

 32年前、1人暮らしのお年寄りに月1度、お弁当を作り届けていた時の様子を書き、「ふれあい」に掲載されました。

 初めて自分の文章が活字になったのを見た時は、胸がドキドキと高鳴ったのを思い出します。

 友人、知人から「読みましたよ…」と声を掛けていただき、書く楽しみを知りました。それから、自分の思いを書くようになり、好きだった短歌、俳句なども投稿。切り抜いてノートに貼っていたのが増えていきました。

 夫や子どもが「本を作ればよい」と背を押してくれるので、75歳になったのを機に、私の生きた証しと思い、小さな冊子にまとめました。

 時々ページをめくり、折々の出来事や思いを懐かしんでいます。もうすぐ80歳になります。一日一日をいとおしみつつ、穏やかに老いていきたいと思います。

 

▼暮らしを彩る

【穴田敏子 加古川市 アルバイト 62歳】

 私は話し下手なので、日々の暮らしで感動したり、面白いと思ったりして家族や友人に話しても、「何を言いたいのか分からない」「オチがない」と言われ、話し上手な人をうらやましく思います。

 しかし「物言わねば腹ふくる」と言うように、誰かに聞いてもらいたい、話したい思いが湧きます。そんな時は「ふれあい」に投稿します。

 たいていはボツですが、たまに掲載された時は、天にも昇る心地で一人でにんまりします。ふれあいという書く場所があることで、平凡に思う日々の暮らしの中の宝物に気が付きます。

 ふれあいを通して、さまざまな人の気持ちを知り、気が付かなかった人情の機微にも触れます。見ぬ人と紙面でつながり、自分の心の世界も広がります。水の輪が広がっていくように、これからもふれあいが続くよう願います。

 

▼生活そのもの

【村澤若葉 小野市 主婦 53歳】

 5月5日で結婚30周年を迎えました。同時に神戸新聞との出合いからも30年です。

 1年後、長男誕生で4世代同居がスタート。初めての春を迎えるワクワク感を「今年の春はいいことありそうな」と投稿。2年後、転勤で東京生活が始まり、1年半後に長女が誕生。長男が9歳の時に小野へ戻りました。秋祭りで子どもがはしゃぐ姿がうれしく、「7年間の遠回り」と投稿しました。

 10歳の娘と映画「千と千尋(ちひろ)の神隠し」を見た感想や、桜が満開の日にあった親戚のおばあさんの葬儀について「100歳万歳」と書きました。

 「80歳の私へ」と題した投稿では、おととし10月に他界した義母の80歳の誕生日に、赤飯と肌着を贈って喜ばれたこと、体が丈夫ではない私が還暦の先の80歳まで生きてみたいと思えたことをつづりました。「ふれあい」は、日常生活そのものです。

 

▼輪が広がって

【小堀好記 姫路市 主婦 72歳】

 4月14日は父の命日だ。亡くなった当時、私は小学5年生で、母は30代後半だった。路地に1本の桜があった。ひつぎにすがりつき、泣き崩れる母の肩に散っていた。

 その思い出を「ふれあい」に投稿し、採用された。それがきっかけで、音信不通になっていた友から連絡があり、その友の近所にいる人とも友人になった。何かにつけて連絡し合う大切な仲間となり、喜んでいる。

 また、行きつけの病院の受付で、私の名前を見て「読みましたよ」と声を掛けられた。

 そして何よりも、ふれあいがきっかけで書くことが楽しく、好きになり、現在、地域のエッセークラブに入会。平凡な日々ながら、その中で心に触れた出来事を原稿用紙につづっている。

 いつの日か、文芸欄のエッセー部門で入選することを夢見て…。

 

◇「心の居場所」であり続けたい◇

 「『ふれあい』って今年何年目ですか?」。そんな記者の一言から、ふれあいを巡る旅が始まりました。

 幸い私たちの呼び掛けに多くの便りが寄せられました。その一つ一つを拝読すると、暮らしや愛するものへの温かなまなざしが伝わってきます。折々の出来事をつづり、自らの作品を「生きた証し」と本にまとめた方がいます。大切な人の旅立ちで気力を失う中、新聞を手に取り、日常を取り戻したという方も。

 みなさんの大切な日常の、片隅にかもしれないけれど新聞があり、「ふれあい」があった。それが、私たちの励みになりました。これからもみなさんと共に笑い、涙する、心の居場所であり続けたいと思います。ありがとうございました。(報道部くらし班)

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