2024年のコンサート「歌会 VOL.1」で歌う中島みゆき(田村ヒロ撮影)
2024年のコンサート「歌会 VOL.1」で歌う中島みゆき(田村ヒロ撮影)

 時に人生の応援歌のように、時に天女のささやきのように響く。シンガー・ソングライターの中島みゆきが、1975年にデビューしてから今年で50年。大地を潤す雨のごとく心に染み込んだ歌は、今日も私たちの体の中で鳴り続けている。(敬称略)

■等身大の言葉と、人生を達観する壮大なまなざし

 中島みゆきは北海道で生まれ、大学を卒業した翌年「アザミ嬢のララバイ」でデビューした。眠れない夜は訪ねておいでと歌うこの曲の直後には、代表曲となる「時代」を発表。等身大の言葉で語りかけてくる親密さと、人生を達観する壮大なまなざしは、その後の歌にも貫かれている。

 「わかれうた」「悪女」で売れっ子となり、ラジオ番組「オールナイトニッポン」の軽快な語り口でも人気に。転機は1988年、「師匠」と呼ぶ編曲家・プロデューサー瀬尾一三との出会いだ。瀬尾のサウンドを「人間味あふれる音」と表現し、今日まで盟友ともいえる関係が続く。