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「日本では、発達障害の子どもが、二次障害になるケースが多い。オーストラリアでは、ほぼゼロ。防いでいかなければ」と話す武田鉄郎教授=兵庫大
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「日本では、発達障害の子どもが、二次障害になるケースが多い。オーストラリアでは、ほぼゼロ。防いでいかなければ」と話す武田鉄郎教授=兵庫大

 和歌山大大学院教育学研究科の武田鉄郎教授が、発達障害の子どもを指導・支援する方法を提唱し、話題を集めている。問題に直面した発達障害の子どもに対し、支援者が解決に向けたいくつかの方法を「提案」し、「交渉」を重ね、子どもが自主的・主体的に解決法を「選択」できるようにする。この「提案・交渉型アプローチ」を続けていくことで、自分を大切に思える「自尊感情」が高まるという。(鈴木久仁子)

 同アプローチは、障害児教育の分野で注目されている。武田教授は3月、兵庫大(兵庫県加古川市平岡町)であった講演会(兵庫県教育心理研究会主催)で、詳しく語った。

 発達障害は脳の障害で、進行しないという。しかし、発達障害の子どもは、幼稚園や小・中・高校など、幼児期からの日常や集団生活の中で、自尊感情を低下させ、情緒的に不安定になったり、問題行動を起こしたりすることがある。二次障害と呼ばれる症状だ。

 武田教授によると、同アプローチは、二次障害のある子どもに特に有効で、その予防にも役立つという。

■本当の気持ち

 講演で、武田教授は、同アプローチの事例として、「小学校でみんなと掃除ができない」という発達障害の子どもを紹介した。

 武田教授の助言を受けた教師が、子どもに、「ほうきではくことはできますか」「机やいすを運ぶことができますか」などと、掃除の動作一つ一つについて尋ねたところ、雑巾がけができないと分かった。

 さらに理由を聞くと、汚れた雑巾に素手で触ることができないという。そこで、「ゴム手袋をすればどうかな」と提案。子どもは掃除に参加できるようになった。

 武田教授は「本人もうまく言葉にできない本当の気持ちを引き出し、できることを選ばせるのがポイント」と強調する。

■不安症状を軽減

 また、「みんなと一緒に校外学習に行きたくない」と訴えた生徒への対応も、同アプローチの事例として挙げた。

 教師は武田教授の助言を受けた後、生徒に見学に行く場所やご飯を食べる場所などを挙げ、一つずつ「大丈夫ですか」と聞いていった。生徒は「みんなとバスに乗ることができない」ため、校外学習を拒否していたことが分かった。

 生徒は、養護教諭の乗用車で移動する提案に応じ、参加できた。これをきっかけに、不安症状が軽減し、現在も社会人として自立しているという。

 武田教授は「子どもが『できない』などと立ち往生したとき、寄り添い、『選択』ができる状況をつくりだし、主体性や自主性を大切にしていく。そうすれば、時間はかかっても、子どもが自信をつけ、感情をコントロールできるようになっていく。良い方向に変わる」とまとめた。

▽たけだ・てつろう 病気の子どもの心理社会的支援、発達障害のある子どもの二次障害に関する専門家。著書多数。

■武田鉄郎教授おすすめ 発達障害関連サイト

 国立特別支援教育総合研究所HP内(http://inclusive.nise.go.jp)の「合理的配慮」実践事例データベース

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