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県教育委員会が開いた研究会で、主権者教育の取り組みについて情報交換する教員=神戸市中央区中山手通4、市教育会館
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県教育委員会が開いた研究会で、主権者教育の取り組みについて情報交換する教員=神戸市中央区中山手通4、市教育会館

 高校生が校外でデモやビラ配りなどの政治活動に参加する場合、学校に届け出を義務付ける「届け出制」について、兵庫県立高校全147校(中等教育学校を含む)の8割に当たる116校が導入しないと決めたことが、県教育委員会への取材で分かった。残る31校は未定という。各校が生徒や家庭の自主性を重んじる姿勢が浮き彫りになった。(上田勇紀)

 選挙権年齢は、昨年6月に「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げられた。文部科学省は、高校生の政治活動について、かつての学園紛争の影響で従来は学校内外で望ましくないとしていたが、放課後や休日に学校外で行う場合は容認。これに伴い、学校が校外での政治活動を把握すべきかどうか議論になっていた。7月2日投開票の兵庫県知事選は、選挙権年齢が引き下げられてから初めての県知事選となる。

 県教委は4月、各校に「学外での政治活動について校則などにどのように定めたか」と質問。「特に定めていない(届け出制を導入しない)」が約79%の116校、「未定」が約21%の31校で、「届け出制にする」とした学校はなかった。昨年4月時点では、「特に定めていない」が39校で、「未定」が108校だった。神戸市立高校は全校が導入しないと決めている。

 県高校生徒指導協議会の中村稔会長(篠山産業高校長)は、届け出制を導入しない学校が大半を占めたことについて「生徒の自主性や家庭の判断を重視した結果だ」と分析。別の県立高校長も「生徒や保護者への信頼関係の下、導入しないことを決めた」と話す。

 届け出制が注目されたのは昨年4月、愛媛県立の全59高校(特別支援学校、中等教育学校を含む)が校則を改定し、届け出制を盛り込んだことがきっかけ。有識者や弁護士が「思想信条の自由の観点から問題だ。若者の政治参加にも逆行する」と批判した。

 愛媛県教委は「昨年度、生徒から政治活動の届け出があったとは聞いていない」とする。批判については「選挙の場合、応援する候補者名や政党の名前など詳細は聞かない。口頭で参加する日を伝えてもらう程度。生徒の安全確保や、選挙違反をしないように啓発する意味合いがある」と反論する。

■悩みは政治的中立性や時間確保

 政治活動の届け出制の議論に関し、兵庫県内の高校教員からは「進んで政治活動に参加するほど、生徒は政治に興味を持っていない」との声が聞かれる。主権者としての自覚を促す「主権者教育」の充実が急がれる中、政治的中立性や時間の確保など、教員はその在り方に頭を悩ませる。

 6月8日、県教育委員会が神戸市内で開いた主権者教育に関する研究会。地歴・公民を担当する高校教員ら約350人が参加した。

 少人数に分かれての情報交換では、参加者から「教科書を進めないといけないので、なかなか時間が取れない」「主権者教育も大事だが、生徒の公職選挙法違反が怖い」「生徒会選挙が盛り上がらない」-といった意見が出された。

 30代の男性教諭は「政治課題を取り上げても、教員は自分の意見を言えない。授業のまとめ方が難しい」と打ち明ける。授業で模擬選挙を行い、振り返る場面で講評するのを控えたという。「どうしても自分の考えが入りそうになる」

 60代の男性教諭は「現場はやはり大学入試に主眼を置いている。主権者教育の教え方も習っておらず、正直、ためらいはある」と漏らした。

 主権者教育を促す国の高校生向け副教材作りに携わった桑原敏典・岡山大大学院教授(社会科教育学)は「選挙管理委員会の担当者を講師に呼ぶだけで済ませるなど、多くの場合、主権者教育がイベント化してしまっている」と指摘。「生徒になぜこの話題を取り上げるのか説明できて、多様な意見を示せるならば、主権者教育にタブーはない」と背中を押す。

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