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不登校の経験を基に中学生向けの無料学習教室を開いた弓良美桜さん(右から2人目)=奈良県田原本町
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不登校の経験を基に中学生向けの無料学習教室を開いた弓良美桜さん(右から2人目)=奈良県田原本町
「フリースペースIROHA(いろは)」でスタッフらとトランプをして遊ぶ子ども=西宮市西田町
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「フリースペースIROHA(いろは)」でスタッフらとトランプをして遊ぶ子ども=西宮市西田町
神戸新聞NEXT
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 不登校の小中学生は2017年度、全国で約14万4千人と過去最多を更新した。増加傾向が続く中、学校への復帰だけを目的にしない支援が広がりつつある。きっかけは2年前、子どもの休養や学校以外での学習を認めた教育機会確保法の施行。この夏休みにも、大学生が手がける学習教室や、子どもが身を置くフリースペースの開放といった取り組みが始まった。(名倉あかり)

 「すごいやん。合ってる、合ってる」。8月中旬、奈良県田原本町(たわらもとちょう)の公民館で、英語の問題を採点した関西学院大学国際学部4年の弓良美桜(ゆみら・みお)さん(21)=大阪市中央区=が男子生徒をほめた。同町出身の弓良さんは7月、同町教育委員会や友人の大学生らと無料の学習教室を初めて開き、夏休みの間、中学生約20人の勉強に付き添った。

 弓良さんは中学3年生の時、担任と折り合いが悪く不登校に。市が開く適応指導教室や英語の専門学校に通って勉強の面白さを実感した。経験を基に、学習でつまずいた中学生に、小さな「できた」を積み上げてほしいと考えた。

 自身も感じた「指導される」という垣根を低くしようと、中学生には「ゆみらん」とあだ名で呼んでもらう。不登校の子どもに限らず、勉強したい、宿題を見てもらいたいと、さまざまな生徒が集まった。弓良さんは「学校や塾以外にも勉強できる場所があると知ってほしい」と話す。

 また、学校に通いづらい子どもたちに、自宅でも学校でもない「居場所」を提供する動きも拡大している。西宮市のNPO法人「みやっこサポート」は7月下旬、「フリースペースIROHA(いろは)」を市内に開設した。

 夏休みに訪れた子どもたちはゲームや料理、おしゃべりなどを楽しみ、自由に過ごす。2学期を控えた8月末、フリースペースは平日限定の100円ランチを提供し、にぎわった。学校に通えていないという小学6年の男子児童(12)は「学校じゃなくても、誰かと遊んで、ご飯が食べられる場所が落ち着く」と笑みを浮かべた。

 同サポート理事長の中島恵美さん(53)は「不登校は人生の通り道」と説き、スペースの存在意義を「人と出会って話をする。はじめの一歩の手伝いができれば」と語った。

     ◇     ◇

■フリースクール、尼崎では学校出席扱い

 兵庫県教育委員会によると、県内の公立小中学校で不登校の児童と生徒は2017年度、6469人に上った。この状況と教育機会確保法の施行を受け、教育委員会や学校現場では、登校だけを求めない柔軟で幅広い対応が増えている。

 尼崎市教委は5月から、民間フリースクールを認定して学校の出席として扱う制度を始めた。これまで学校長が判断していたフリースクールの出席認定で基準を統一した。また、夏休み明けに学校に行きづらい子どもに対して、今月20日まで市立図書館など市の計26施設を居場所として開放している。

 加古川市教委は福祉の専門家「スクールソーシャルワーカー」を本年度、全ての中学校区に配置。家庭や学校での悩みを聞き、行政の福祉窓口につないだり、学校以外で学べる施設を紹介したりする役割を担う。

 フリースクール県立神出学園で校長を務めた経験がある武庫川女子大学の山口豊教授(61)は不登校の増加に「自分の身の置き場に思い悩む子が増えている。多様な選択肢を示して、子どもに決めさせてあげてほしい」と提案する。

【教育機会確保法】不登校の児童生徒に対する国や自治体の支援を初めて明記した議員立法。2017年施行。不登校を、相当期間の欠席と「学校での集団生活に関する心理的な負担、その他の理由のために就学が困難である状況」と定義する。文部科学省は、教育委員会や学校にフリースクールなどとの連携を求め、登校のみを目標とせず、子どもに休養が必要な場合があることを認め、学校以外の学習活動の重要性も盛り込んだ。

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