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村田治さん=兵庫県西宮市、関西学院大(撮影・中西幸大)
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村田治さん=兵庫県西宮市、関西学院大(撮影・中西幸大)

 関西学院大学の神戸三田キャンパスは兵庫県三田市の西端、三木市と神戸市境に近い丘陵地にある。総合政策、理工の2学部に約6千人が学ぶが、神戸や大阪の中心部からの遠さが課題だ。「弱みを強みに変える」と話す村田治学長(64)は2021年春、全体の定員を微減させた上で三田キャンパスを5学部に再編するなど、大胆な改革を進める。「10年後には(本部のある)西宮をしのぐ存在に」って本当ですか、学長!?(高見雄樹)

 -10年後、「関学といえば神戸三田」になっていると。

 「冗談ではなく、本気ですよ。21年春に理、工、生命環境、建築の自然科学系4学部と、既存の総合政策という5学部に再編します。関学は長らく、理系が1学部しかない文系メインの大学でしたが、バラエティーに富んだ理系学部を含む総合大学になります。そのために神戸三田キャンパスが必要。理系に強い大学こそ、これからの時代に強い大学なのです」

 -なぜ、理系なのですか。

 「経済成長と人的資本に関する研究では、国の経済成長につながるのは読解力より数学や科学の能力だと言われています。今春、文部科学省と経済産業省がまとめた報告書『数理資本主義の時代』も、これからは数学ができる人材が極めて重要だと指摘しています。理系学部の強化は必然ですよ」

 -問題意識はいつ頃から。

 「経済学を教えていて、高校で数学をしっかり学んだ学生は論理的な思考力があります。難しい数式や経済モデルを抜きにしてね。日本では、高校1年生までは数学を十分勉強しますが、文系と理系が分かれる2年生以降は文系に進んだ生徒が数学をやめてしまう。他の先進国は文理を分けません。ここで日本は世界と決定的な差がついてしまいます。(自身が委員を務める)中央教育審議会でも、高校で文理を分けることについて議論が始まろうとしています」

 -恥ずかしながら、私も経済学部出身ですが、数学が苦手で…。

 「これからは人文社会系も人工知能(AI)を使いこなす必要に迫られます。営業の現場に立つ人材がAIを分からないといけない。6月に政府が発表した『AI戦略2019』には、毎年100万人規模で社会人向けにAI教育を実施するとあります。AIの基本的な仕組みを理解するには、線形代数と微積分、統計学の知識が必須です。関学には、こうした流れを先取りした独自プログラムもあります」

 -神戸三田キャンパスでは文系、理系を融合するのですね。

 「違います。理系から文系には行けても、文系から理系は無理でしょう。そうではなくて文理を横断し、理系人材が文系のことも分かるようにしたいのです」

 -簡単ではなさそうです。

 「もちろん。それには学部を超えた、いろんな仕掛けが必要になります。その際に三田市というフィールドが生きてきます。1980~90年代に人口増加率が10年連続日本一だった三田市は今、ピークを越えて縮小しています。急速な高齢化も予想され、三田市はまさに日本の縮図。神戸三田キャンパスを通じて、地元の課題解決に関わりたいですね」

 -面白いキャンパスになりそうですが、都心部からは遠い。その時点で学生が来ないのでは。

 「遠さは素直に認めます。都心の近郊ではない。それでも、面白ければ来てくれます。東京ディズニーランドは東京駅から40分、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンは大阪駅から20分。どっちがもうかっていますか? 秋田市郊外の国際教養大が人気なように、魅力があれば距離は関係ありません」

 -弱みは強みにもなる、と。

 「実験が必要な理系の学部は薬品などの規制が多く、三田という広い土地にあるのはメリットです。実験に打ち込む学生のために、キャンパス内には、民間企業の資金を活用した学生寮を新たに建てる予定です。大学の都心回帰が話題になりますが、戻っているのは文系学部だけ。三田には近郊型で競争力のある農業もあるので、新設する生命環境学部との連携も期待できます」

【むらた・おさむ】1955年東京生まれ、大阪府松原市で育つ。府立生野高から関西学院大経済学部に進み、96年教授、2014年から学長。専門は景気循環論。学長就任後もゼミでの指導を続ける。

◇記者のひとこと

 マグロで有名な近畿大が筆頭か。各大学は少子化を背景に、広報戦略に力を入れる。「うちは謙虚で、宣伝が下手だから」と村田さん。大阪に巨大公立大が誕生するなど環境激変の中、伝える力に磨きをかける。

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