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哲学を学ぶKUPI生。分からない部分を隣の大学生がフォローする=神戸市灘区鶴甲3
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哲学を学ぶKUPI生。分からない部分を隣の大学生がフォローする=神戸市灘区鶴甲3
2月の修了式で記念撮影するKUPI生ら(神戸大学提供)
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2月の修了式で記念撮影するKUPI生ら(神戸大学提供)

 知的障害がある人に大学で学ぶ場を提供するプログラムに、神戸大学(神戸市灘区)が今春まで約4カ月間、初めて取り組んだ。「神戸大学・学ぶ楽しみ発見プログラム」(通称・KUPI)と題した珍しい試み。主に兵庫県内から公募で集まった男女10人が一般の学生と席を並べ、哲学や心理学、音楽などの授業を通じて大学での学びに触れた。(太中麻美)

 文部科学省によると、知的障害がある人が特別支援学校高等部を卒業し、大学などの高等教育機関に進む割合は約0・4%。同世代全体の大学進学率50%超と比べて隔たりがある。一方で近年、福祉施設が高等部卒業者を対象にした「専攻科」を設けるなど学ぶ機会を増やす動きも見られる。

 そうした中、神戸大は、文科省の委託を受けた実践研究として2019年10月~20年2月、プログラムを展開。自力通学が可能▽言語によるコミュニケーションをとることができる-などを条件に参加者を募り、同大大学院人間発達環境学研究科の津田英二教授が責任者を務めた。

 参加者10人は「KUPI生」と呼ばれ、同大の聴講生制度を利用。大学の教室を使い、教員から専門性の高い授業を受けた。授業内容の補足などのサポートは学生有志が担った。

 授業は火、水、金曜日の午後4時半~8時で、大半のKUPI生は仕事を終えた後に出席。火曜は津田教授による「障害共生支援論」を、水曜は複数の講師から哲学、天文学など多分野の講義を受け、金曜は同大の地域連携施設「のびやかスペース あーち」(同市灘区)で、研究や創作活動に取り組んだ。

     ◇

 「哲学とは、自分が何を知らないか、を自分で分かること。それを考えようとすること」。ある水曜日の講義で、哲学を専門とする稲原美苗准教授がそう説いた後、問うた。「自分を動物に例えると何ですか?」

 KUPI生たちは考え込んだ。しばらくすると、一人が言葉を発した。「僕は犬。よくお出かけして、おしゃべりなところ。それと顔が少し長いから」。別の一人も積極的に続けた。「ハイエナ。食べ残ったものを食べて、食欲があるところが自分と似ている」

 「自分について深く考えることは自分を大切にすること、と伝えたかった」と狙いを話す稲原准教授。「KUPI生の発言はストレートで哲学的。私の方が学べた」と振り返った。

 キャンパスライフには、授業以外の楽しみも。大学のカフェ「アゴラ」での語らいだ。旅行土産の菓子を配ったり、アニメのカードを交換したり。「仲間と話すのが楽しくて、うれしくて、いつも大笑い」「難しい授業も頑張れる」。のびのび過ごす時間が学生同士の絆も育んだ。

 津田教授は「KUPI生たちが授業を受ける姿からは知の世界に接することの喜びが伝わった」と手応えを語り、「全国でのモデルケースとなるよう、プログラムをどう継続するかなどをまとめたい」と話した。プログラムは20年度も実施する予定。

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