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体験者の小部豊さん(左)の話を聞きながら歩く生徒=西宮市西波止町、御前浜
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体験者の小部豊さん(左)の話を聞きながら歩く生徒=西宮市西波止町、御前浜
映像も見ながら戦時中の状況を学んだ=西宮市宮前町、浜脇中学校
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映像も見ながら戦時中の状況を学んだ=西宮市宮前町、浜脇中学校

 終戦から75年の夏。戦争をゲームや小説、映像でしか知らない世代にどう引き継ぐか。証言をじかに聞く機会も年々減り、教育現場の危機感が募る中、西宮市立浜脇中学校(兵庫県西宮市宮前町)の3年生7人が、体験者の案内で校区に残る戦争の跡を訪ねた。それぞれの胸に抱く戦争像に触れた。(鈴木久仁子)

 7月下旬。長年、地元の戦争を語り継いできた西宮市の小部(おべ)豊さん(81)が浜脇中に招かれた。

 「当時まだ5歳。戦争の本当の苦しさ、つらさ、みじめさを話せる先輩がどんどんいなくなったので何とか少しでも、と思って」

 小部さんは、証言を集めた映像や資料を示し、当時の市内の戦況を生徒に伝えた。市内は5回の空襲で焼け野原になった。多くの住民が逃れた川、高射砲台があった浜、機銃掃射の痕が残った建物…。どれもなじみのある場所だ。メモを取る7人の手が止まった。

 その後、学校北側の西宮神社で、境内に300発もの焼夷(しょうい)弾が落とされた話を聴いた。神社にその一つが保管されていた。さびた筒を初めて手に取った。「雨のように降ってきて、辺りは火の海になった」と小部さん。7人は黙り込んだ。

 西宮市平和資料館では、学校、家、塾、スーパーといった「日常」が戦火に焼かれた記録を熱心に見学。「いい機会になった」という辻村隆校長に、小部さんは答えた。「絵空事ではなかったことが伝わればうれしい」

 この日の最後、事前の質問に基づき、7人の一人一人に感想を聞いた。

     ◇

 「小説『永遠の0』を読んで、作者(百田尚樹さん)の『戦争はもうしてはいけない』という気持ちが感じられた。でも、いざとなったら自分は流されて、長いものには巻かれろになってしまうかもしれない。戦争が起きると自由が抑圧され、家族がいなくなり、困ると思う。きょう見た浜脇小学校から撮った空襲後の写真は、信じられないほど何もかもなくなっていてショックだった」

     ◇

 「人としての理性がなくなり、狂気といっても過言でないような雰囲気で人をあやめるのが戦争だと思う。映画の『火垂(ほた)るの墓』で、主人公が息絶える場面が印象的だった。きょうは資料館にあった勲章をかっこいいと思ったけれど、多くの死の犠牲の上にあると分かって複雑です」

     ◇

 「戦争の絵本を小さい時に読み、悲しかった。戦争になると、『家族や友だち、大事な人が死んでしまうのでは』とおびえて生活することが一番困るだろう。きょうは、自分が住んでいる場所に高射砲台があったと聞いて驚きました。知らなかった」

     ◇

 「きょうは映像の中で、体験者が空襲で離れ離れになった父と涙の再会ができたと話す様子が心に残った。戦争とは人生を狂わせるものだ。衣食住、大切なもの全てを失ってしまうこともあると思う」

     ◇

 「戦うゲームでは、自分より強い人を倒したときの達成感や残り2人になったときの緊張感が面白い。でもこれから戦争が起きると、死人が出るだけでなく、食糧難にもなるのではないか。国内で(敵ではない人たちと)食糧の奪い合いになって、争いにつながったら怖い。きょうは自分の家の場所に焼夷弾が落ちていたと分かってびっくりです」

     ◇

 「家ではよく戦争の話をします。議論もするし。以前に見た『この世界の片隅に』の映画も当時の生活が分かり、よかった。でもきょうは、近所の酒蔵が燃えたとか、防空壕にいた人が出たとたんに爆弾に直撃されて亡くなったとか聞き、ぐっときました。漫画とかにはあまりひどいことは描いていないのかな」

     ◇

 「映画やアニメで戦争の話を見たことがあります。戦争とは、みんなが小さなことでもけんかし、人間としての信頼を失うことではないでしょうか。きょうは焼夷弾の威力のすごさを実感しました。空襲の後に黒い雨が降ると聞きました。なぜなのでしょう」

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