修学旅行の宿泊、兵庫県内8市断念 新型コロナの感染リスク回避
2020/09/11 06:30
3カ月半遅れとなった修学旅行。奈良、三重へ向かう神戸市立本山南小学校の子どもたち=9日午前、神戸市東灘区本山南町8
新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中、兵庫県内の少なくとも8市の全小中学校で、宿泊を伴う修学旅行を取りやめることが神戸新聞社の調べで明らかになった。生徒同士が密になりやすく、遠距離移動に伴う感染リスクが避けられないと判断。宿泊を伴う修学旅行を実施する市町でも、大部屋をやめたりバスを増便して密を回避したりと、感染予防に躍起となっている。(斉藤絵美)
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神戸新聞が9月上旬に県内の市町教育委員会に尋ねたところ、尼崎市▽伊丹市▽宝塚市▽川西市▽三木市▽姫路市▽宍粟市▽朝来市-の8市で、小、中とも宿泊を伴う旅行を中止に。高砂、相生、淡路の3市は、高校受験を控え日程を先延ばしできない中学のみ宿泊を中止とした。同様にたつの市は小学校のみ中止に。
その理由として、公共交通機関を使うことや団体行動により、感染リスクが避けられないことを挙げる。朝来市の小中各2校で実施された保護者アンケートでは、感染不安を訴える声が一定数あったという。いずれの自治体も日帰り旅行などに切り替える予定だが、行き先も神戸市の六甲山牧場や姫路城、淡路島など県内が目立つ。
一方、例年通り宿泊を予定する自治体でも、東京や沖縄だった行き先を近畿・北陸圏など近場に変えた。国の観光支援事業「Go To トラベル」を利用する学校が多く、浮いた費用を感染予防策に回す。
養父市では公共交通機関を避け、貸し切りバスで移動できる行程に限定。明石市は、例年は大部屋で寝泊まりしていたが、1部屋の人数を減らし、宿での食事も大皿で取り分ける形を見直す。
「保護者の9割が同意する」などを条件とした神戸市は、学校によって対応がまちまちに。例年通りの学校もある一方、保護者の同意が得られなかった中学校1校で、すでに中止が決まっている。
太子町でも中学1校が保護者らの同意が得られず、日帰り旅行に切り替えた。高齢者と同居するなどしており、感染リスクを恐れる家庭があったという。同町教委の担当者は「行かせてやりたいが、保護者や子どもの思いは無視できない。苦渋の決断」と話す。
感染状況が日々変化する中、修学旅行の実施の可否を決めきれない自治体も多い。豊岡市は宿泊を伴う旅行を予定しているが、担当者は「状況や保護者の意見によっては、方針が変わる可能性がある」としている。
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