1932(昭和7)年7月2日に旧三木町を襲った水害に関する記録展が、兵庫県三木市本町2の中央公民館2階ロビーで開かれている。死者33人、負傷者約30人、家屋流失は約50戸に上る未曽有の災害だった。主に「三木町水災誌」(1933年刊行)を基に、惨状を生々しく伝える写真や原稿など約30点の史料が展示されている。(井川朋宏)
企画したのは元三木市職員の米村環さん(58)=三木市。祖父の故和田寅市さんが当時町職員で、水害の救護本部に詰め、後に助役を務めた縁もあり、昨年相次いだ豪雨災害を受けて展示を決めた。
同誌などによると、水害は前日から降雨が続いた影響で、当日朝に二位谷池、福田池などが相次いで決壊。滑原町、芝町など一帯に被害が及んだという。
会場では、決壊直後の二位谷池や倒壊した家屋、被害の中心地を上空から捉えた写真が見られる。被害や行政の対応、避難の状況を刻々とつづる日誌も。「三樹小学校百年史」では校庭が被災者向け炊き出しや、犠牲者の合同葬儀場になったことを記す。当時の新聞記事には「さながら生き地獄」「目もあてられぬ水禍」といった見出しが並ぶ。
米村さんは母成子さん(82)を通じ、祖父が歩いて役場へ向かう途中、土煙を上げて水が流れてきて慌てて逃げた話を聞いた。「自然災害の記録と記憶の伝承は備えの第一歩。広く知ってもらいたい」と語る。
入場無料。29日まで。午前8時半~午後10時(日曜は午後5時、最終日は同1時まで)。同館TEL0794・82・2007
