三木

  • 印刷
関西弁の冗談を交え、明るく接客するダ・シルバ・フェレイラ・スエリさん=スナック八重
拡大
関西弁の冗談を交え、明るく接客するダ・シルバ・フェレイラ・スエリさん=スナック八重

 来日して約30年となるブラジル人の女性が営む「スナック八重」(兵庫県三木市)が、15日で閉店する。関西で職を転々とした末に同県丹波市で店を開き、休業を経て移転先の三木で再開。営業は通算17年間に及ぶ。「日本では言葉に出さなくても、思いやりや助け合いの気持ちを多く受け取ってきた」と感慨を込める。(井川朋宏)

 サンパウロ出身で、三木市に住むダ・シルバ・フェレイラ・スエリさん(52)。母方の祖父母はいずれも日本人で、店名は、ブラジルで生まれ育った最愛の母、八重子さん(86)に由来する。

 大学で機械工学を学んでいたが、一家の生活を支えるために中退し、1991年春に来日。日本語を学んで大阪の金属会社で4年間働き、母国で両親のために家を建てる夢を実現した。

 妹が住んでいた丹波市に移ってからは、パチンコ店で約5年間勤務。同市内でスナックを営むブラジル人女性と出会い、後を継ぐことを勧められた。家族や周囲は当初反対したが、めったに褒めない父のオリデスさん(故人)から「あなたは頑張り屋だからきっと成功する」と告げられ、決心したという。

 2001年12月に「スナック八重」を開店。嫌がらせを受けたこともあったが、持ち前の明るさで徐々に年配者ら常連客を増やし、ボウリングやバーベキューを開くなど交流を深めた。10年余りの営業後、工場で働くブラジル人の通訳に転職して三木へ移住。そこで店に使える新築物件を紹介され、13年秋に再び同じ屋号で店を開いた。

 その後軌道に乗ったが、17年春、睡眠不足などの無理がたたって脳動脈瘤に。2度の手術を経て復帰を遂げた。髪がないとき、頭に布を巻いて店に立つと、常連客から「あなたに会いに来たので付けなくていい」と言われたことが印象に残るという。その後も2年余り働いたが、「体と心を休むことが大切」と考え、閉店の決断を下した。

 残り数日となった店には、丹波市時代の常連客らが次々と駆け付けている。4月にはいったん帰国するが、また三木へ戻る。いつか母親と日本で暮らす夢を持ち、奔走した半生を今、こう振り返る。

 「普通に学校へ行っていたらもっと視野が狭かったかもしれない。最初はお金のことを考えていたが、お金では買えない経験ができて、幸せ」

三木の最新
もっと見る

天気(6月4日)

  • 28℃
  • 21℃
  • 20%

  • 32℃
  • 16℃
  • 20%

  • 30℃
  • 21℃
  • 20%

  • 33℃
  • 20℃
  • 10%

お知らせ