三木

  • 印刷
思い入れのある看板を慈しむ細江征洋さん。故郷の木材を使っている=三木市大塚、ナチュラルキッチンゆと
拡大
思い入れのある看板を慈しむ細江征洋さん。故郷の木材を使っている=三木市大塚、ナチュラルキッチンゆと

 兵庫県三木市大塚のレストラン「ナチュラルキッチンゆと」が、19日に閉店する。阪神・淡路大震災や病気も乗り越えて腕を振るい続けた細江征洋(ゆきひろ)さん(77)=神戸市北区=は新型コロナウイルス感染症の影響で、約55年の料理人生活に区切りを付ける決心をした。既に閉店日までほぼ予約で埋まっており、常連客が名残を惜しんでいる。(大橋凜太郎)

 岐阜県高山市出身。高校卒業後、一度は会社勤めを経験したが、趣味の食べ歩きが高じて料理人への夢が膨らみ、20代前半に神戸市へ移住した。ホテルで20年近く修業し、渡仏したことも。出された料理から素材や調理法をさかのぼって考え、腕を磨いた。

 約35年前には、夫婦で神戸・北野にフレンチの店を開業。同市北区にも出店した。ところが、1995年の震災で北野の店は半壊し、やむなく閉店。北区では10年ほど続けたが、心疾患に伴う手術を機に畳んだ。

 「また店を開きたい」との思いを抱き続けた療養中に、目に飛び込んできたのが大宮八幡宮(三木市本町2)の秋祭りだった。祭りどころの出身のため親近感が湧き、三木での開業を模索。偶然見つけた古民家を借り、2010年に「ゆと」を開いた。

 本物の料理を気軽に楽しんでもらおうと、パスタがメインのランチやステーキ中心のディナーなどは、いずれも安価に設定。素材の良さを生かした味を追求し、地元で採れた野菜や米をふんだんに使った。

 客から贈られた花が店を飾るなど、地域住民との交流を深めたが、同感染症の拡大を受けて4月から休業。緊急事態宣言が解除されて再開したが、密集と密閉を避ける営業形態では十分な客席を用意できない。以前から「店を辞めた後に余力がなくてはつまらない」と思っていたこともあり、潮時と判断した。

 朝夕の通勤では四季の移ろいに心を動かされるなど、「とにかく楽しい10年だった」と細江さん。常連の声に後ろ髪を引かれるが、「料理人として食べると、目や舌が反応してしまう。これからは、100%客の立場で食事を楽しみたい」と第二の人生に胸を膨らませている。

三木の最新
もっと見る

天気(8月14日)

  • 35℃
  • ---℃
  • 20%

  • 36℃
  • ---℃
  • 20%

  • 36℃
  • ---℃
  • 20%

  • 38℃
  • ---℃
  • 20%

お知らせ