飲食店を改修して設置した「三木モスク」(兵庫県三木市岩宮)に7月、ハラール対応のレストランがオープンした。中東出身者が急増する中、交流拠点が必要となったためで、パキスタン出身のシェル・ザマン・カーン・ロディさん(52)が運営する。多い日で約150人が訪れ、礼拝の前後に食事を楽しんでいる。(大橋凜太郎)
三木市国際交流協会によると、今年2月までの5年間で市内在住の中東出身者の人口は約3倍に増えた。中でもシリア人は、24人から73人まで増えている。
ザマンさんは約20年前、家業の貿易業のために来日。現在も神戸市中央区の会社で中古車売買などを手掛ける。日本での生活は長いが、気掛かりだったのは、県沿岸部にモスクが集中していることだった。
2015年ごろから在住シリア人が急増したこともあり、播磨地域のムスリムが足を運びやすい三木で、モスクの設置を模索。空き店舗となっていた飲食店を改修し、18年に「三木モスク」を開いた。
礼拝堂が完成した直後に、ハラール対応の売店も開業。「一口に中東といっても、親しみのある料理は国によって異なる」といい、羊肉やナン、調味料に至るまで幅広い品ぞろえを誇る。要望に応じて、品数も適宜増やしているという。
レストランも開設する予定だったが、新型コロナウイルス感染症の影響などで工事が遅れ、今夏、完成した。単品やコースのほか、ランチ・ディナーのセットメニュー各3種類を用意。多くの人が集まる金曜礼拝は、食べ放題形式で提供する。
「神戸のモスクに通っていた半数がこちらに来るようになった」とザマンさん。「建物の収容人数に限界はあるが、『神戸まで行かなくて済む』との声を聞くとうれしい」と話している。
