昭和30年代の里山環境を復元しようと職員らが立ち上がった三木山森林公園(兵庫県三木市)。外来種を駆除し、芝生広場をかつての草原に戻す取り組みなどが奏功し、カヤネズミやニホンアカガエルといった多様な生物が定着した。四季折々の原風景にいぶく命をファインダー越しに紹介する。
■縁起良い「落ちない葉」
三木山森林公園(三木市福井)の「香りの道」を歩く。ヤマコウバシのだいだい色の葉に、秋の日差しが当たっている。葉を透過した光は、私たちを包み込むように一帯を穏やかに照らす。
枝を折ると良い香りがすることから、その名が付いた。春に小さな花を咲かせ、秋になると紅葉。冬の間も枯れ葉は枝に付いたままで、翌春に新芽が出るまで散ることはない。「春まで落ちない」ことから、合格祈願のお守りにする人もいるという。
公園内のヤマコウバシは、赤みが強かったり、黄みが濃かったりと、葉の色彩の豊かさに驚かされる。樹木医の梅木伸一郎さん(67)が記者に言う。「木によって性格も千差万別ですからね。人と同じように」。(大橋凜太郎)
