兵庫県工芸美術作家協会会員の染色家、本間敦子さん(66)=同県明石市=の作品展が、堀光美術館(同県三木市)で開かれている。ろうや染料で白い布を身近な風景に変え、雪がかかった真っ赤なツバキや夏の夜空など、四季を感じさせる作品が並ぶ。
本間さんは京都市内の短大で染色を学び、溶かしたろうを筆で布地に塗る「ろうけつ染め」に45年取り組んできた。スケッチした風景に自分の心情を加えて表現できるのが魅力という。20年ほど前からは型彫りを始め、型染め作品も発表している。
今回は、2002年から新作までここ20年の作品50点を展示。今年完成した「陽・生ずる時」は、新型コロナウイルスの影響で外出自粛が続く中、希望の光が見えるようにとの願いを込めて制作した。暗闇を表すために黒く染めた麻布の上に、黄、青、オレンジに波打つ空を示す別の布を重ね合わせて、浮かび上がる日の出を表現した。
伽耶院(三木市志染町)のカタクリの花をモデルにした作品は「春の妖精」とたたえられる薄紫の花が白地の背景に鮮やかに映え、幻想的な雰囲気を感じさせる仕上がりとなっている。
本間さんは「絵の具とは違う染料の透明感や、白い画面に残る一色、一筆を記憶に残してもらいたい」と話している。
21日まで。午前10時~午後5時。無料。月曜休館。堀光美術館TEL0794・82・9945
(長沢伸一)
