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閉校記念式典で未来への希望を込めて風船を放つ生徒ら=三木市志染町井上、志染中学校
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閉校記念式典で未来への希望を込めて風船を放つ生徒ら=三木市志染町井上、志染中学校
生徒らの花道を抜ける山本学道校長=三木市志染町井上、志染中学校
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生徒らの花道を抜ける山本学道校長=三木市志染町井上、志染中学校
グータッチで別れを告げる生徒と教師=三木市志染町井上、志染中学校
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グータッチで別れを告げる生徒と教師=三木市志染町井上、志染中学校
生徒の声が響かなくなった校舎=三木市志染町井上、志染中学校
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生徒の声が響かなくなった校舎=三木市志染町井上、志染中学校
コの字型の木造校舎が残る校庭=三木市志染町井上、志染中学校
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コの字型の木造校舎が残る校庭=三木市志染町井上、志染中学校

 「志中の魂(たま)」は未来へ-。兵庫県三木市志染町井上の志染中学校が31日、74年の歴史に幕を下ろした。今春の卒業生を含め、これまでに4424人が巣立った。祖父母、親、子と数世代にわたって子どもたちを見守り育て、地域の象徴でもあった伝統校。閉校までの1カ月を追った。(篠原拓真)

■2月28日

正午すぎ。晴天に包まれたグラウンドから青や黄など色とりどりの風船が放たれる。閉校記念式典には、在校生や卒業生、地域住民ら数百人が集まり、過去の卒業アルバムをめくっては多くの卒業生が目を細める。

 同校1期生の前田英二さん(88)は「われわれの下の学年は、先生のことを『祐さん』と親しみを持って呼んでいた」と振り返り、「今もそれだけは忘れてないな」とほほ笑む。

 開校翌年から社会科を受け持った山本祐治先生。新任で同校に赴任した「祐さん」は、くしくも山本学道・現校長(60)の父親だ。

 山本校長は3年前に赴任し、在任中に閉校が決まった。自身も卒業生で、同校の教員だった経験もある。

 「最後は保護者、地域の人、卒業生に教室を見てもらいたい」。そう考えていたが、新型コロナウイルスの拡大でオープンスクールは諦めざるを得なかった。「心残りで申し訳ない」。最後の校長としての無念をにじませる。

■3月23日

10日の卒業式で3年生を見送った2年生15人と1年生3人が、感謝を込めて大掃除。「校舎がきれいになるにつれ、『もうここに入れないのか』と寂しくなる」。生徒は校舎を見渡してつぶやく。

■3月24日

終業式を終えた生徒らは、最後の学活を迎えた。「郷に入っては郷に従え」。新しい環境に飛び込む2年生に15の話を披露してきた担任の新井智明(ちあき)先生(58)は、最後の言葉を贈った。「志染の子は素直。今は互いに助け合うが、自分のことは自分でしないといけなくなる。統合先でも大丈夫なように最後は厳しめに接した」と話す。

 生徒一人一人が言葉を紡いでいく。「互いの個性を理解して補い合い、成長してきた」。新井先生は2年間を思い返すように顔を見返す。先生覚えていますか、新しい環境に戸惑う私たちを温かく見守ってくれたことを-。感謝の言葉を述べる生徒らに「大人になった」と涙を浮かべる。

 統合する緑が丘中学校で生徒会副会長を務める新3年生の今枝愛里・生徒会長(14)は「責任は重いが、より良くなるようにしたい。最後まで楽しく過ごせて、心残りなく胸を張って緑中に行ける」と顔を上げた。

■3月25日

朝から慌ただしく業者がトラックと校舎を行き来する。感傷に浸る間もなく、引っ越しが始まった。教室にこだました生徒の笑い声は消え、静かな校舎に鳥のさえずりが響く。

 山本校長は、写真をあしらって学年別に作ったノートを手に「しんどいことが一つもないなんてありえない。でも、新しい朝が来た時に希望の朝であってほしい。そうじゃないと悲しすぎるやんか」と願う。

3月31日 夜、校門に鍵が掛けられ、74年の歴史に終止符が打たれた。この1カ月、山本校長が式典で繰り返し述べた言葉がよみがえる。「みなさんが進む道、将来に幸せが降り注ぎますように」

【三木市立志染中学校】1947年4月、志染小学校(同市志染町御坂)内に志染村立中学校として創立。48年5月、加西市から旧陸軍の兵舎を移設し、木造校舎が現在地に完成した。卒業生は、プロゴルファーの橘田規さんや橘田光弘さん、絵本作家のいもとようこさんら。学校再編を受け、2021年度から緑が丘中学校(同市緑が丘町東4)と統合される。

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