コロナ禍、経済対策…課題と要望は? 衆院選・兵庫4区の有権者に聞く

2021/10/23 05:30

衆院選兵庫4区のポスター掲示板=小野市中島町

 衆院選は31日の投開票に向け、新型コロナウイルス対策や経済対策などを中心に論戦が展開されている。候補者たちの声高な主張は、足元の暮らしに悩む市民たちに寄り添っているか。兵庫県の兵庫4区(神戸市西区、西脇市、三木市、小野市、加西市、加東市、多可町)の有権者に自らの立場を踏まえた課題と要望を聞いた。 関連ニュース 兵庫県政混乱の収束は不透明 百条委揺れた9カ月 <兵庫県知事選 あの熱狂の中で 第1部>さいとうさんと「私」(4)投影 <兵庫県知事選 あの熱狂の中で 第1部>さいとうさんと「私」(3)熱情


■現場はしんどいだけ 理容業・足立俊明さん(39)=三木市
 理容師として働いているが、技術者や職人、国家資格を持つ仕事が大切にされていないように感じる。
 理容業界では低料金化が注目された時期があった。コストを抑える分、給料も抑えられ、機械のように髪を切り続けた。雇われ店長でも年収が高い人で、社会保険なしで年収400万円ほど。もうかるのは店を経営している上の人で現場はしんどいだけだ。
 私も理髪店で働きながら通信制の専門学校に通い、理容師資格を取った。駆け出しは収入月11万円でみなし残業は当たり前だった。
 昔は技術を覚えるまで「でっち奉公」の扱いだったかもしれないが、今はそんな時代じゃない。待遇を改善しないとやりたい人がいなくなる。個人では限界がある。人を育てるためにも国の制度的な支援があればと感じる。(聞き手・篠原拓真)

■急激な増税はやめて 飲食業・三木智美さん(43)=小野市
 7歳の息子を育てながら神戸市西区のカフェ「Cafe こはる」で週1~2回、自作のかき氷を提供している。これまでの経験で感じたことは、女性が起業することの大変さだ。女性がアクセサリーや飲食業などのビジネスを始めようとしてもハードルが高い。幼い子どもがいると、育児、子育てに追われる。保育所不足で思ったところに預けることも簡単でなく、仕事のための時間が取れない。
 起業を支援する講座を自治体が主催していることもあるが、地域ごとに温度差がある。同じ思いを持っている人が市域を越えて交流し、つながれる仕組みがあればいいのにな、と思う。
 男性と比べ、女性が起業する難易度は高い。自治体と国が連携して「一歩前に踏み出す女性」を支援する枠組みを構築してほしい。(聞き手・杉山雅崇)

■男性に比べ起業大変 衣料品店店長・●瀬由美さん(55)=加西市
 国の新型コロナウイルス感染症への対応については「頑張ってもらっている」と感じている。この店でも補助金を利用し、給付金ももらった。次々と施策を打ち出してくれて助かっているが、国の債務は増えている。将来的には税金を上げるなどして回収しなければならないだろう。
 ただ、小規模な商店などは急激な変化には耐えられない。(消費税などの)税率を上げるだけでなく、上げたり下げたり小刻みに変えることもやめてほしい。
 消費税率が5%、8%、10%と段階的に上がった際、対応に苦労した。うちは靴下なども含めれば商品数は3千点を超える。その値札を一つずつ付け替えなければならなかった。税金を上げるにしても長期的な視野で緩やかにしてほしい。(聞き手・小日向務)

■酒類需要低下で減産 山田錦生産者・田尻倫生さん(35)=加東市
 新型コロナの影響で酒米山田錦の生産者は苦境に立たされている。緊急事態宣言で、飲食店では酒類の提供禁止要請を受けたため、日本酒の需要が大きく落ち込んだ。山田錦の生産者は減産。私のところでも昨年は15%減らした。
 加東市は高品質の酒米産地「特A地区」が広がり、誇れる地域。一方で農家の高齢化が進む。そんな中、コロナによって農業をやめる人が出てこないか心配だ。大規模な生産者に限らず、中小の農家にも手厚い補助が必要だと思う。
 若い人に関心を持ってもらう施策もいる。農業には重労働のイメージがつきまとうが、最近ではスマート農業や人工知能を活用した効率的な農業が注目を集めつつある。技術を導入しやすい体制づくりにも力を尽くしてほしい。(聞き手・中西大二)
(注)●は「高」の異体字、はしご高

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