頑固な油汚れも落とす優れもの 台所換気扇用の掃除道具、金物メーカーが開発

2022/01/27 05:30

新型コロナ禍で需要が高まる「お掃除スクレーパー」

 兵庫県三木市別所町巴の金物メーカー「井本刃物」が製作した台所換気扇用の掃除具「お掃除スクレーパー」が注目を集めている。換気扇の頑固な油汚れを落とす優れもので、同社が開発に5年間を費やした。長引くコロナ禍に伴い、家庭での料理時間が増える中、需要が高まり、2021年度の「三木金物ニューハードウエア賞」で金賞に輝いた。(長沢伸一) 関連ニュース 「生きる力」掃除で育む 社長の憧れから「エコピカはかせ」誕生 お掃除教室は人気イベントに コンロ周りを掃除するコツ、プロに聞いた 「長期間放置はNG」「なるべく温めて」「お掃除シートに裏当て」 お風呂掃除ちょっと待って  ブラシやスポンジを使い分けピカピカに!アイテム選びが仕上がりを左右


 井本刃物は1942年創業で、ハンマー、バールなどを手掛ける。掃除業者から「換気扇の羽根にこびりついた油の掃除は時間がかかり、手をけがすることがある」との声を受け、5年ほど前から台所換気扇用の掃除具開発に取り組んだ。
 台所換気扇は「シロッコファン」と呼ばれる円形の枠に数十枚の羽根がついたものが主流。羽根が湾曲しており、既製品の平面型のヘラでは奥まで入り切らない部分があり、油汚れを落とすには手間暇が必要だった。
 同社は、まずヘラの先端を1センチほど曲げたテスト品を製作。実際に掃除業者に使用してもらい、改良点を探った。さび対策でヘラ部分をステンレスに、持ち手を樹脂に変更。ダブルフィンと呼ばれる逆向きの羽根に対応したバージョンも作り、試行販売を行った。
 さらに、通常用とダブルフィン用を1本で対応できるように改良。また、換気扇のレンジフードの周りにある折り返し溝に対応したフック型のヘラも新たに製作し、2020年7月に販売を始めた。
 5年間、試行錯誤を繰り返した商品は掃除業者からも好評を集め、さらに新型コロナ禍の外出自粛の影響で、一般からの注文も多く寄せられるようになった。開発を担当した中井健雄(たつお)さん(62)は「作っては改良を繰り返した。お客さんから『これがあって助かった』と言われるのが幸せ。今後もニーズを聞いて新たな商品を生み出したい」と話している。
 「お掃除スクレーパー」はシロッコファン用が1360円、レンジフード溝用が1400円。土牛産業TEL0794・82・0880

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