「ムカデ芝」植え、農道の草刈り省力化 9種類の方法試す 三木で実証実験
2022/08/10 05:30
農家の負担となる草刈りの回数を減らそうと、兵庫県加古川流域土地改良事務所が、同県三木市宿原の農道のり面でムカデ芝(センチピードグラス)を使った実証実験に取り組んでいる。他の植物の成長を抑制するムカデ芝でのり面を覆い雑草の繁茂を抑えることが狙い。防草シートや硫黄の散布などを組み合わせ、草刈りの省力化に向けて最適な方法を探る。(長沢伸一)
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実験は8月からスタート。ムカデ芝を研究する竹内芳親鳥取大学名誉教授が技術監修し、三木市の農家木下勝さん(63)や三木市役所などが協力する。
同事務所によると、ムカデ芝は2、3年でのり面全域を覆う。今回は農家にとって時間的・経済的に最適な方法を見つけるため、九つの実験を企画した。松岡浩司所長(55)は「低コストで手間をかけずに効率的に芝生ができる方法を見つけて周知できるようにしたい」とする。
場所は木下さんが所有する田んぼののり面約50メートル。7月上旬から雑草の草刈りと除草剤散布をして準備した。高さ2メートル、幅5メートルの試験区を九つ設定し、8月1、2日に区ごとに防草シートや遮光ネットなどを取り付け、実験場を用意した。
実験はムカデ芝をのり面に「張るタイプ」が4種類、ムカデ芝の「苗を移植するタイプ」が5種類。
「張る実験」では、市販と木下さんが育てた自家製のムカデ芝ブロックを、それぞれ区画全面と市松模様に分けて張り付けた。市松模様は、ブロックを用意する経済的コストと張り付ける手間との費用対効果の確認を目的とする。
「苗を移植する実験」では、苗移植に加えて、通根性防草ネット敷設▽遮光ネット敷設▽硫黄の散布▽芝用除草剤使用▽苗移植のみ-の5種類を比較。硫黄の散布は試験中の技術で、土壌を強酸性に変化させる。中性の土壌で生育するほかの雑草と異なり、ムカデ芝は酸性の土壌でも育つ特性があり、散布の効果を確認するという。今後、定期的にムカデ芝の生育状況を観察。発生した雑草は状況に応じて刈り取り、重量を測定して実験の効果を見定める。
実験に協力する木下さんは「今は1カ所で年に5回ぐらい草刈りが必要。夏場はずっと続くので1回で済めばだいぶ楽になる。実験がうまくいってもらえれば」と期待した。