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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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神戸まつりで半世紀続くサンバ そのルーツとは 2020/08/09

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鮮やかな衣装でサンバを踊る神戸まつりの参加者=2019年5月、神戸市中央区

 ミナトから六甲山へ神戸市中央区を南北に貫く県道30号、通称「フラワーロード」。人通りや車の往来が絶えることのないこの道は年に一度“開放区”となり、祭りの熱気に包まれる。

 神戸まつり。参加者全員が主人公となり、踊りや芸を披露しながら行進する。注目の的は、サンバ。昨年の「おまつりパレード」参加81団体のうちサンバは8チームだけだが、存在感は圧倒的だ。

 「国際色豊かで神戸らしい。写真映えがするので、ポスターなどへの露出も必然的に多くなる」。そう話すのは、主催する神戸市民祭協会の担当者。1971年の第1回以来、サンバのイメージはすっかり定着しているが、ふと疑問が湧く。なぜ、神戸でサンバなのか。

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 神戸ブラジル協会の設立に尽力した山田芳信さん(87)=同市垂水区=に尋ねると、興味深いエピソードを教えてくれた。

 1950年~60年代、国際貿易港・神戸には、ブラジルからも多くの船がやって来た。停泊中、街へ繰り出した船員たちは市民と交流し、中には、船員に招かれ共にサンバを楽しんだ人もいたという。

 神戸にはかつてブラジル総領事館があり、サンバを通じた異国間の文化交流が計画されたこともあった。さまざまなルートでサンバが市民に浸透し、67年に始まった神戸まつりの前身、「神戸カーニバル」で一気に市民権を得た。

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阪神・淡路大震災の被災地激励のため、神戸まつりに参加したブラジルのサンバチーム=1999年7月、神戸市中央区(オリヴェイラ紀子さん提供)

 「日本で初めてサンバが広まったのは神戸だろう。ただ『誰が最初か』という問いに答えるのは難しい」と山田さん。神戸の街にはサンバと出合うチャンスがそこかしこにあった。

 ちなみに、国内最大規模の浅草サンバカーニバルは81年スタートで、事務局にルーツを聞くと「喜劇役者らが地域発展のために発案した」とのこと。神戸とは成り立ちが異なるようだ。

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 サンバとともに半世紀。その心は今も、脈々と受け継がれている。

 本場ブラジル・リオデジャネイロのカーニバルで、花形ダンサーとして活躍してきたオリヴェイラ紀子さん(44)=同市兵庫区=も、自身の原点は神戸まつりにあるという。

 「幼い頃から神戸まつりを見て育ち、踊るのが大好きだった。気付けば人生や生活の大半をサンバが占めています」と笑う。神戸でサンバチームを立ち上げ、2001年からパレードに参加している。

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阪神・淡路大震災を挟み復活した神戸まつりで、迫力ある踊りを披露するサンバチーム=1996年7月、神戸市中央区

 「地球の裏側のリオまで行かなくても、神戸の人に本物のサンバの素晴らしさを届けたい」

 神戸からブラジルへ移民船の笠戸丸が出港してから110年余り。ブラジルとの縁は長く紡がれている。(安福直剛)