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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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国籍や宗教超え、平和願う 神戸北野天満神社 2020/08/21

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北野の地名の由来とされる神戸北野天満神社=神戸市中央区北野町3

 異人館の代名詞、風見鶏の館から急な石段が伸びる。鳥居をくぐり、息を荒らげつつ登り切ると、ミナトの景色が一望できる。

 神戸北野天満神社(神戸市中央区北野町3)。平清盛が福原遷都の1180(治承4)年、京都の北野天満宮を勧請したのが始まりとされる。

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北野の地名の由来とされる神戸北野天満神社で、「近所のドイツ人のおばさんにかわいがられた」と思い出を語る佐藤典久宮司=神戸市中央区北野町3

 「昔は異人館がもっとたくさん並んでいて、外国人の子どもともよく遊んだ」と宮司の佐藤典久さん(49)。さまざまな文化の入り交じる街を、自然なものとして受け止めてきた。

 そんな環境にある同神社で開催されているのが「北野国際まつり」。始まりは神戸ポートアイランド博覧会が開かれた1981年。異人館街でペルシャ美術館を運営していた故ジェイ・グラックさんが、前宮司である佐藤さんの父親に相談したことがきっかけだった。

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各宗教が一堂に会して世界平和を祈る、北野国際まつりのピースセレモニー(2017年5月3日)

 日本のお祭りに外国人も参加できないか-。思いをぶつけるグラックさんに、「いっそ外国人が企画し、日本人も参加できる祭りにしては?」と逆提案。11の宗教による世界平和祈願の式典を軸に、「国際まつり」を催すことになった。

 〈今、世界では全ての人びとが平和を望んでいるにもかかわらず、人種や民族、宗教の違いによる紛争が絶え間なく起こっています〉

 グラックさんは同神社奉賛会の記念誌(92年発行)でそう語り、訴える。

 〈私たち一人一人の良識で、心の国際交流を進めようと(中略)世界の宗教の相互理解活動を進めて参りました〉

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神戸北野天満神社からの神戸の街並み

 現在、実施の主体は日本人だが、その精神は変わらない。今年の第40回はコロナ禍で中止されたものの、各宗教の代表による祈りと民族芸能は、もう一つの神戸の初夏の風物詩となっている。

 「今でこそ国際的なイベントが地域で開かれることは珍しくないが、いち早く実現したのは素晴らしい」と、佐藤さんは誇らしげな顔をみせる。

 「この場所だからこそ続いている祭りを、私たちが次の世代に残し、心の国際交流を続けていきたい」

 祈りを共に。開港都市の雑居地が育んだかけがえのない気風は、未来へと受け継がれていく。(杉山雅崇)

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ジェイ・グラックさん(北野天満神社奉賛会記念誌より)